令和6年度事業計画

コロナ禍の脱却に伴い、我が国経済は、緩やかに回復しているものの、物価上昇による節約志向の高まりから個人消費は減少し、又、投資コストの増大から中小企業の設備投資等では足踏みがみられる。

一方、株価は空前の高値を付け、景気は上向いているとの見方もある中で、実態経済はインフレに賃上げが追い付かず、景気回復を実感できない状況にある。

内航海運の輸送動向に目を向けても、貨物船関連では、半導体の供給制約が解消され、自動車生産が回復、自動車輸送が顕著に推移したが、鉄鋼は建設需要等の低迷に伴い、輸送需要も低調に推移した。

斯様な中、今年度も引き続き、当連合会は総連合会と連携し、内航海運業界の発展に向けた持続可能な目標設定と諸施策の対応について、関係省庁や関係団体と連携して適切に取り組んでいく。

当連合会は、令和3年8月の暫定措置事業終了に伴い、新たな物流事業者団体として組織編成を図り、安全かつ安定輸送の確保を図る為に、船員確保対策、安定・効率化輸送の推進、内航海運事業者のコンプライアンスの向上を目指すとともに、暫定剰余金を活用した国の施策を推進する為、船員の確保育成と働き方改革、取引環境の改善及び生産性向上、環境対策の推進をメインとする施策に取り組むために必要な事業を実施する。

それらを実施するためには、代替建造の推進により船舶の近代化を図るとともに、若年船員の確保に向けて多岐にわたる人材発掘に全勢力を傾注する。

船員の働き方改革推進に向けて、労働環境と運賃用船料の改善が急務であることから、荷主企業の理解を得るべく、契約の適正化等、内航海運業界が一丸となって、その改善に取り組まなければならない。

又、令和4年4月海事産業強化法施行に伴い、令和5年度より船員の健康確保等の措置も実施され、船員の働き方改革が本格的に行われることから、その実施に必要な事業を当連合会は総連合会と協力し行うとともに、2030年CO₂排出削減目標の達成に向けて内航海運業界として、連携型省エネ船の開発と普及、バイオ燃料の活用等による省エネ・省CO₂に取り組んでいく。

さらに、令和6年度からは、働き方関連法によって4月以降自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることから、トラックの輸送力不足が危惧されており、内航海運業界はその輸送の受け皿としての対応を政府や関係団体と連携して取り組んでいく。

尚、カボタージュ制度は、国の安全保障と治安の確保、国内における産業、生活物資の安全かつ安定輸送の観点から国策上必要不可欠のものであり、引き続きカボタージュ制度の下で安定輸送を維持する為にも、若年船員の確保育成に必要な対応を取る一方で、外国人船員の雇用については、慎重な検討を要するが、その導入を望む声もある。

又、当連合会では、現在、ホームページを運用、及びメールでの周知徹底を実施しており、広く組合員への情報伝達を図る一方で、その情報量が多い故、重要な情報が埋もれてしまう可能性も考えられるため、受信者が分かりやすく理解できるような発信方法を工夫し、次世代を担う若者を含め、一般国民に対し内航海運への認識、理解を促進するため、LINE等のSNSを活用した情報発信に努めるとともに、働き方改革や各種コスト削減を意識し、WEB会議と対面式会議を併用しながら運用をしていく。

尚、その一例として、今後の当連合会会議では、会議資料を電子化することにより、各個人のPCやタブレット等からの閲覧を促進させ、ペーパーレス化及び事務局におけるコスト削減や事務業務効率化を図っていく。

内航海運業界を取り巻く課題山積の中、当連合会は、会員及び総連合会と連携しつつ、組合員の地位向上に資するべく下記事項達成に向け傾注する。

 

【記】

○運賃及び用船料の適正化推進

○若年船員の安定的な確保・育成と雇用促進

○内航海運暫定措置事業終了後の組合の組織及び事業等のあり方検討

○内航海運についての海事広報推進・充実

○カボタージュ制度の堅持・研究

○組合員等への情報伝達の推進及び業界発展に向けた諸施策の実施

○感染症拡大の防止及び激甚災害に向けた支援活動推進

 

以上