会長 小比加 恒久
9月からポスト暫定措置事業策定を始め、内航海運の重要課題に関する議論が本格化してまいりました。
これは、今年度から就任した上野内航総連合会会長の要請により、政策委員会の下部組織である政策小委員会で平成20年度中の取りまとめを目標に、検討を進めることになったものです。
内航海運暫定措置事業についてはご承知のように、24年度までの基本方針が決まっておりますものの、その後のあり方については固まっておらず、例えば①25年度以降の借入残金の返済②暫定措置事業により建造された船舶の引当資格の取り扱い③24年度末時点での引当資格未行使船の取り扱い、などが検討課題となるものと思われます。
なお、同小委員会で今後検討される基本方針は、ホームページ既報の『論点整理のための叩き台』及び『内航業界が取り組むべき課題(抜粋)』をご参照いただきたいと存じます。
当全海運では船主・輸送・砂利船の3部会の討議を踏まえて、内航海運活性化プロジェクトチーム(以下PT)で叩き台を煮詰め、これを理事会で検討の上、内航総連合会に提示することとしていますが、8月30日の砂利船部会を皮切りに9月4日船主部会、7日輸送部会、14日PTを開催してこの論議を始め、19日の理事会ではこの検討状況が報告されました。
暫定措置事業は、現在の定めによれば24年度までの方針が固まっていますが、27年度までに160隻の買上対象船が存在しています。しかし、それ以降は形として建造納付金だけが存在し、暫定措置事業は借入金の精算事業的なものとなります。とはいえ現状では、経済界から政府の規制緩和策に対する要望として、暫定措置事業の早期解消が強く出されているだけに、ポスト暫定措置事業の策定には明確な理論武装が求められているといえます。
またこれと並行して、内航総連合会政策委員会のもうひとつの下部組織である基本政策小委員会ではホームページ既報の通り、建造促進並びに船員政策の両ワーキンググループを設置し、来年7月を目処に抜本的対策づくりに取り組んでおります。両対策とも内航海運業界の今後の重要な課題ですが、建造促進策は内航海運の近代化を促進するためだけでなく、暫定措置事業の今後のあり方とも深く関わるものですし、船員確保対策は少子高齢化の中で団塊世代の大量退職期を迎え、早急の確立が求められているものです。また、この2つの問題を解決するためには、運賃・用船料の適正化を図ることが基本ですが、そのためには、私がかねてより提唱している『業界の地位向上』が必要不可欠なものとなるでしょう。
(平成19年10月13日掲載)