会長 小比加 恒久
悪夢としか思えなかった昨年3月11日の「東日本大震災」と「東京電力福島第一原子力発電所事故」から、あっという間に1年が経ちました。この1年の間に何がどう変わったのか? 被災地に於いての瓦礫は山積みにされたまま、行き先不明の状態です。
復興と言っても片付くものが片付かなければ先へは進めません。「なぜ?」と言う気持ちです。年頭にも申し上げましたが、それ以外にも9月の大型台風の襲来、10月のタイの洪水、為替マーケットでの円高、11月の欧州危機と立て続けにといった感じでした。今年に入っては消費税増税の論議を巡って与党内での混乱があり、もっと先にやることがあるのではないですか、と言いたくなるような心境です。
内航業界においては、昨年の7月以降に全海運でも再三にわたり議論検討していただいた「内航海運暫定措置事業の今後について」が、大きな山場を迎えようとしております。ご高承の通り全海運では、船主部会・輸送部会・砂利船部会・内航海運活性化プロジェクトチーム・特命委員会・理事会等で議論を重ねた上で、全海運から内航総連合会に提出した意見書をベースにした業界案で、これまで国土交通省海事局とすりあわせを行ってまいりました。当初は、23年度中の決着を望んでいたと思われますが、今回が大きな転機となりかねないと言う思いから、軽々な妥協は許されないとの姿勢で交渉に臨み、結果的には24年度に持ち越しの形となりました。国土交通省海事局からも再三厳しい会議にご出席願い、内航業界の要望をご理解の上、最大限汲み取っていただいておりますが、執行部としても引き続き最大限努力する所存です。
それ以外にも、カボタージュ規制問題への対応(3月末に再度沖縄から規制緩和の要望が出ました)もありましたが、昨年の大震災直後の業界挙げての対応は何だったのかと思います。船員の確保・育成、運賃・用船料の低迷からの脱却、過剰船腹の解消等々組合員の皆様のご協力なくして、何ひとつ解決出来るものはございません。
被災地復興が軌道に乗るには、まだ多少の時間はかかるかもしれませんが、今年度も業界一丸となって頑張って行きたいと思います。皆様方には重ねてご協力のほどお願いいたします。
2012年(平成24年)4月4日掲載