組合員の皆様へ

年頭のご挨拶

全国海運組合連合会
会長 藏本 由紀夫

皆様 新年明けましておめでとうございます。

2024年 新しい年を穏やかにお迎えの事とお慶び申し上げます。

昨年の日本経済は、通年で見れば緩やかな回復基調にあったと思います。その最大の要因は、新型コロナウイルス問題が克服されていく中、経済活動の正常化が進んだことにあり、特にインバウンド需要の回復が大きく影響致しました。しかし、堅調は概ね年前半で終わり、年後半には息切れ感も出てきた状況でございました。実際、物価が上昇し始めたことはデフレ経済脱却という意味では歓迎すべきかもしれませんが、物価上昇率に賃金上昇率が追い付かず、一般国民の家計は圧迫されており、このままでは2024年の日本の経済成長率は大きく低下することが予想されています。また、世界全体に目を向けてみると、世界最大の経済大国である米国の景気の先行きの不透明感、第2位の経済大国である中国の景気低迷に加えて、ウクライナ戦争の長期化、さらにはガザ紛争の勃発等、国際社会の不安定化とグローバルなサプライチェーンの分断等によって今後の世界経済の減速が懸念されるところです。これらが日本経済の景気にマイナスの影響を与えることは言うまでもありません。

斯様な中、物流業界に関して政府は、「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」を開催し、働き方改革に関する法律が適用される一方で、人手不足による物流の停滞が懸念される2024年問題に直面したことにより、2023年6月には物流革新に向けた政策パッケージを策定致しました。さらに第3回目の同閣僚会議が10月に開催され、2024年問題が迫る中、賃上げや人材確保等、早期に具体的な成果が得られるよう可及的速やかに各種施策に着手するとともに、輸送力不足の解消に向けて可能な施策の前倒しを図るべく、「物流革新緊急パッケージ」を閣議決定、公表しました。内航海運業界をはじめとする物流業界の現場の視点からの課題解決につながる政策展開になるよう注視していきたいと思います。

また、内航海運業界においては、内航輸送市場の安定化のために、内航海運事業者と荷主企業との連携強化とそれによる取引環境の改善を目的として、安定・効率輸送協議会とその中に鉄鋼・石油製品・石油化学製品の3部会を設置し、課題の共有と中長期的視野に立ってその改善策に取り組むべき協議を続けています。今後、当該協議会が効果的に機能するよう対応が求められているところです。

更に、内航船員不足問題については、内航船員の供給源の開拓・確保数増加と定着率の向上に対応するための各種対策に取り組んでいるところでございます。その成果の一つとして、すでに昨年10月に公表されたように、内航総連、海洋共育センター及び海技教育財団が連携し、関係機関の協力もと、6級海技士短期養成講習に入学する者に対する奨学金制度が今年4月以降開始される予定です。

それ以外においても、自律運航船の開発と普及、DX化の推進や海上ブロードバンドへの対応、STCW基本訓練の受講に向けた環境整備、船員確保&育成に向けた広報の充実やチャレンジ事業への支援、全国の船員確保対策協議会の活動支援など新たな試みを含めて積極的に取り組んで参りました。

また、当連合会においては、「青年部WG」や「将来の組織運営を考えるWG」の設置など、中長期的に持続可能な組合運営のあるべき姿に関する議論やそのための環境整備を行って参りました。

業界の課題はまだまだ山積しておりますが、現状を踏まえた今後の対応を、皆様と一緒に考えていきたいと思っています。

2024年は「十干十二支」でいうと「甲辰(きのえたつ)」です。

辰年に関する言い伝えは、天高くのぼる竜に守られる辰年。「強運」や「お金に困らない」といった言い伝えがあるようです。様々な不安定要素がありますが、みなさんと協力して課題に対応し2024年を飛躍の年にしていければと思います。

本年が皆様にとって明るく飛躍の年となりますことを念じて、今年も引き続き宜しくお願い致します。

 

2024年1月吉日