九州地方海運組合連合会より
「第60回九州運輸コロキアム開催(福岡市)」
についての情報を頂きました。

-たくましく日本を支え進化する「内航未来創造プラン」-

-国土交通省海事局内航課長 飯塚秋成氏が講演-

(公財)九州運輸振興センターは、平成29年9月4日(月)、福岡市において「内航未来創造プラン」~たくましく 日本を支え 進化する~」をテーマに、国土交通省海事局内航課長飯塚秋成氏を講師にお迎えして「第60回九州運輸コロキアム」を開催しました。

飯塚氏講演①
飯塚氏講演①

飯塚氏講演②
飯塚氏講演②

同センターは、運輸交通・観光などの発展のために諸行事等を通じて関係業界等を支援しており、今回は、内航海運の支援を目的として、本年6月に国土交通省が公表した「同プラン」を題材に取り上げて実施したもので、地元の内航海運事業者をはじめ海事関係者約130名の参加を得て、予定の2時間をオーバーするほど熱心に質疑等が交わされ盛会の内に閉会しました。

コロキアム開催
講演の様子③

具体的に今回の講演では、①我が国の国民生活や経済活動を支える基幹的輸送インフラであり、減少傾向にあった輸送量は近年わずかながら上昇傾向にある。②産業構造は荷主企業‐オペレーター‐オーナーの専属化・系列化が固定化し、事業者の99.6%は中小企業で事業基盤は脆弱である。③「船舶の高齢化」「船員の高齢化」の「2つの高齢化」という構造的課題がある。④CO2削減等の観点から、更なるモーダルシフトの推進が求められている。といった内航海運の現状・課題が報告されました。

次に、こうした状況を踏まえ、国土交通省が昨年4月に内航海運事業者、荷主団体、学識経験者などで構成する「内航海運の活性化に向けた今後の方向性検討会」を発足し、1年3月をかけて検討を進め、今後概ね10年後を見据えた内航海運が目指すべき将来像として「安定的輸送の確保」、「生産性向上」の2点を軸として位置付け、その実現に向け、「内航海運事業者の事業基盤の強化」、「先進的な船舶等の開発・普及」、「船員の安定的かつ効果的な確保・育成」「その他の課題への対応」について具体的施策が盛り込まれた「内航未来創造プラン ~たくましく 日本を支え 進化する~ 」を本年6月30日に公表したことが報告されました。

最後に、内航海運業の将来像の実現のための具体的施策の説明では、

「内航海運事業者の事業基盤の強化施策」として、

①船舶管理会社を登録することにより、登録会社の統一的管理・評価が可能となり、業基盤強化に有効として、平成30年度より運用開始予定の「船舶管理会社登録制度の創設」について早急に検討を進める。

②荷主、内航事業者双方への要望や共通の課題などの情報共有を図り、それぞれの事業者の取組や行政施策へ反映するための「安定・効率輸送協議会(仮称)」の設置。

③関係者の連携の強化を図り、具体的な取組の推進等を実施するため「海運モーダルシフト推進協議会(仮称)」を設置し、モーダルシフト船の運航情報等一括検索システムの構築・実証実験や先進的取組等に対する表彰制度を行う。

「先進的な船舶等の開発・普及施策」として、

① 操船支援・自動化、機関故障の予知・予防、荷役等の船内業務の省力化等を実現するトータルなシステムとしての自動運航船の実用化を目指す。

② 船舶管理登録事業者の管理船舶や労働環境改善船(仮称)、IOTを活用した先進船舶に対す金利低額措置等の優遇措置の導入を検討し、円滑な代替建造の支援を行う。

③省エネルギー効果、費用対効果を「見える化」することにより、省エネ投資の促進につなげる、内航船「省エネ格付け」制度を創設し、普及に努める。

 

「船員の安定的・効果的な確保・育成施策」として、

①専門教育の重点化、リソースの効率的・効果的活用、船員養成に関わるステークホルダー間の連携強化を図るため、船員教育体制の抜本的改革の取組を年内を目途にとりまとめる。

②499総トン以下の船舶における船員の確保・育成策として、499総トン以下の貨物船

の居住区拡大による500総トン超えに対する安全基準の緩和の検討を進める。

 

「その他の課題への対応」として、

①内航海運暫定措置事業の関係では、借入金の弁済が順調に進み平成35年度より前倒しで終了する可能性もあり得ることから、具体的な影響、事業者の意見等を把握し、課題や国の対応について検討する。

② 燃料油の硫黄分の濃度規制への対応として、「燃料油環境規制対応方策検討会議」「燃料油円滑な実施に向けた必要な対応方策を推進する。

 

といった内容が紹介され、この施策を推進するため行政、業界など関係者が一体となって取り 組んでいくことが表明されました。

 

講演後の討議(意見交換)においては、参加されていた皆様から、「具体的な施策については、一定期間での評価などフォローアップが大切」「現在取り組まれている船員確保策を引続き推進して行くことが必要」「船舶管理会社の登録制度を十分に機能させるためには何らかの法的支援策が必要」など意見が出されました。

 

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