組合員の皆様へ
年頭のご挨拶
全国海運組合連合会
会長 藏本 由紀夫
皆様 新年明けましておめでとうございます。
2025年 新しい年を穏やかにお迎えの事とお慶び申し上げます。
昨年は、元日の能登半島地震により、多くの方々が亡くなり、被災し、翌1月2日には被災地支援に向かう海上保安庁と日本航空の航空機衝突事故が羽田空港で発生、数名の方々が亡くなりました。
その後、能登半島では復興途上にある中、9月には記録的な豪雨により二重災害をもたらしました。
お亡くなりになられた方々へ哀悼の意を表し、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧と、皆様が安心して暮らせる日が来ることを心よりお祈り申し上げます。
一方で我が国経済については、昨年は、個人消費が物価上昇の影響を受けつつも底堅く推移し、雇用・所得環境は労働需給の引き締まりを背景に緩やかに改善致しました。また設備投資は、高水準の企業収益を背景に省力化やデジタル投資などを中心に増加したものの、住宅投資が住宅価格の上昇を受け弱い動きとなり、また、自動車メーカーの不正問題発覚に伴う生産停止が解除されたものの横ばいで推移しております。
世界に目を向けてみると、米国の大統領選や、中国の景気低迷に加え、ロシアとウクライナ戦争の長期化、イスラエルとパレスチナ対立、北朝鮮の動向など、国際社会の不安定化や円安進行を要因とした原燃料価格・資機材価格の高騰も加え、今後も世界経済の減速に影響するものと思われます。
斯様な中、我々内航海運業界においては、「働き方改革」と相まって、船員の高齢化や船員不足により、安定輸送に深刻な影響を与える事が懸念される中、国交省では、「海技人材のあり方に関する検討会」や「海技教育機構の中期的なあり方に関する検討会」など集中的に議論し、令和6年度末を目途に取り纏められる予定となっております。
また、取引環境の改善に向け、内航海運事業者と荷主企業との連携強化を図るために「安定・効率輸送協議会」で課題の共有や、中長期的視野に立った改善策に取り組むべき協議を、昨年に引き続き行っているところです。
更に、内航の船員不足問題については、内航総連、海洋共育センター及び海技教育財団が連携し、関係機関の協力の下、6級海技士短期養成講習に入学する者に対する奨学金制度が昨年4月以降開始されました。その影響もあり前年度の卒業者を大幅に上回る約1.7倍の148名が卒業し業界に輩出される予定であり、また、ジェンダーレスな視点による船員対策検討会を設置して、女性船員の拡充に向けた議論も行っているところでございます。
それ以外においても、自律運航船の開発と普及、DX化の推進や海上ブロードバンドへの対応、STCW基本訓練の受講に向けた環境整備、船員確保&育成に向けた広報の充実や内航総連実施のチャレンジ事業及び内航海運安定基金事業並びに全国の船員確保対策協議会の活動支援など、積極的に取り組んで参りました。
また、当連合会では「青年部WG」が次の10年、20年の内航海運を持続可能な産業とすべく、未来志向かつ大局的に自社ならびに業界をどのようにしていくのかを改めて考え、各地区別に発表すると共に、全国の青年経営者との懇親を深めました。
更に、「将来の組織運営を考えるWG」においては、1年間の議論を報告書に纏め理事会に提出するなど、中長期的に持続可能な組合運営のあるべき姿に対しても活発に議論し、その環境整備を行って参りました。
業界の課題はまだまだ山積しておりますが、現状を踏まえた今後の対応を皆様と一緒に今年も考えていきたいと思っています。
2025年 乙巳(きのと・み)の年は、「再生や変化を繰り返しながら柔軟に発展していく」年になると言われており、皆様と協力しながら2025年を更なる発展の年にしていければ幸いです。
本年が皆様にとって明るくより良い年となりますことを念じて、今年も引き続き宜しくお願い致します。
2025年1月吉日