平成21年7月15日(水)Vol.111
政府が09~13年総合物流施策大綱閣議決定
効率的、低環境負荷、安全確実な物流実現へ
政府は7月14日、日グローバル・サプライチェーンを支える効率的物流の実現月環境負荷の少ない物流の実現等火安全・確実な物流の実現等の3つの基本的方向性を柱とした『2009~2013年の総合物流施策大綱』を閣議決定し、経済産業省と国土交通省が同時発表した。
今回の大綱は、平成17 年11 月に策定した『総合物流施策大綱(2005~2009)』をフォローアップしたもの。前回の大綱では、21年を目標年次として、物流分野において日スピーディでシームレスかつ低廉な国際・国内一体となった物流の実現月グリーン物流など効率的で環境にやさしい物流の実現火ディマンドサイドを重視した効率的物流システムの実現水国民生活の安全・安心を支える物流システムの実現の4つの目標を掲げて、総合的な物流施策を推進して来た。その結果、諸施策の効果が発揮されつつあるが、更なる対応が必要な課題も多数残されている。
一方、17年大綱策定以降、経済構造の一層のグローバル化、京都議定書第一約束期間の開始を契機とした地球温暖化対策の必要性の増大、貨物セキュリティ確保の要請の高まり等、物流をめぐる環境には様々な変化が生じており、20 年秋以降の世界的な経済危機の影響を見極めつつ、これらから生ずる課題への迅速かつ適確な対応が求められている。このため、17 年大綱を見直し、新たな総合物流施策大綱を策定することにより、諸施策の総合的・一体的な推進を図るもの。
今回の大綱では、日中韓物流大臣会合を始めとする中国等アジア諸国との各種の政府間対話や「東アジア産業大動脈構想」等により、アジアにおける広域的な物流環境の改善を図ることや、我が国の通関制度等の必要な見直しを継続的に行うこと等、企業サプライチェーンのグローバル化が進む中で我が国の産業競争力の強化に必要な物流施策を総合的に盛り込んでいる他、現在交渉中の平成25年以降の次期枠組みを見据えた地球温暖化対策の動向も視野に入れ、多様な関係者の連携・協働やカーボン・フットプリント制度(商品・サービスのライフサイクル全般で、原材料調達から廃棄・リサイクルまでを排出される温室効果ガス排出量をCO2量に換算し、表示すること)の推進等による環境負荷の少ない物流の実現も盛り込んでいる。
政府ではこれにより、今後推進すべき具体的な物流施策をプログラムとして取りまとめ、官民で協働して毎年度実施状況のフォローアップし、必要に応じて改訂することとしている。
今回の大綱で、今後推進すべき物流施策の基本的方向性は、次の通りしめされている。
1.基本的方向性
(1) グローバル・サプライチェーンを支える効率的物流の実現
日アジアにおける広域的な物流環境の改善
月効率的でシームレスな物流網の構築
火貿易手続や物流管理のIT化と国際的情報連携の構築確保と物流効率化の両立
水セキュリティ確保と物流効率化の両立
(2) 環境負荷の少ない物流の実現等
日低炭素型物流(低炭素型物流:都市内物流の効率化やモーダルシフトの推進等による環境負荷の小さい物流)の実現
月効率的な静脈物流の構築
(3) 安全・確実な物流の確保等
2.施策の推進体制の在り方
(1) 連携・協働の必要性
日国民の理解と協力
月荷主と物流事業者、インフラとの連携・協働
火地域レベルでの関係者の連携・協働
(2) 今後の推進体制
日国における推進体制
関係省庁の関係局長等による「総合物流施策推進会議」を通じ、施策の総合的・
一体的推進に向けた連携・協働を一層強めることとし、今後推進すべき具体的な物
流施策をプログラムとして取りまとめ、その実現に努めることとする。
上記プログラムについては、「目標設定・実施・評価・反映(PDCA)」方式
により、官民で協働し、毎年度実施状況のフォローアップを行い、必要に応じて改
訂を行うこととする。
月地域における推進体制
17 年大綱の策定以来、国の地方支分部局、地方公共団体、荷主、物流事業者等による地域の実情に応じた連絡体制の下、総合的な施策の推進を図ってきた。また、主要な港湾・空港を抱える各地域において、国の地方支分部局、地方公共団体、経済団体、荷主、物流事業者等の実務者が、国際・国内物流の一体的効率化策を検討する「国際物流戦略チーム」を設置し、地域の実情を踏まえた施策の推進を図って来た。
今後は、これまでのこうした連絡・連携体制を不断に見直しつつ、物流現場で生じる課題の収集や施策の立案と効果的な実施に向け、一層の連携強化を進める必要がある。
総合物流施策大綱の概要 PDF
今後推進すべき物流政策の基本的方向性 PDF