平成19年12月22日(土)Vol.13
2008年度の鉄鋼需要の動向
日本鉄鋼連盟が発表
2008年度の日本経済は緩やかな回復持続
2007年度の経済は、新興経済諸国を中心とする世界経済の拡大に伴って輸出が堅調に推移し、内需も企業部門の好調継続による設備投資の増加が続くなど、外需と民間企業の活動に牽引され緩やかな回復基調を継続するものと思われる。しかしながら、外需に関しては、米国のサブプライムローン問題に端を発した国際的な信用収縮不安や原油価格の高騰等により、先行きには不透明感が出ている。また、6月の改正建築基準法施行に伴う混乱から生じた建築着工水準の低下は、周辺業種の活動にも影響を及ぼし始めており、収束にはかなりの期間を要するものと思われる。この結果、2007年度の実質GDP成長率は+1.3%程度が見込まれる。
2008年度については、米国を始めとする海外経済の動向、原油高、為替問題等、外需に関してはリスクが高まるものの、米国経済と非米国経済のデカップリングが見られることから、引き続き新興経済諸国の成長に牽引される形で外需主導の景気回復が継続するものと見られる。実質GDP成長率は、+1.8%程度と見通している。
2008年度の粗鋼生産は1億1,880万トン程度
2007年度の普通鋼鋼材内需は、製造業部門では自動車、造船、産業機械、電気機械などが堅調に推移しているが、改正建築基準法施行に伴う建築着工水準の急速かつ大幅な低下により建築が前年度を下回り、内需全体でも前年度を下回る見込である。一方、特殊鋼鋼材は太宗を占める自動車需要の好調を受けて、前年度を上回る見込である。
全鉄鋼輸出は、主要輸出先のアジア各国経済が堅調なことから、前年度比増を想定している。
この結果、2007年度の粗鋼生産は、前年度に比べ約30万トン増の1億1,800万トン程度と見込まれる。
2008年度の普通鋼鋼材内需は、建設部門では2007年度に低下した建築が回復基調となるものの大幅な需要増は見込めない。他方、製造業部門では引き続き高水準を持続し、さらなる拡大が見込まれることから、普通鋼鋼材内需全体では前年度比増となる見通しである。特殊鋼鋼材内需は引き続き高水準で推移すると見通される。
全鉄鋼輸出は、主要マーケットであるアジア各国の旺盛な需要増が見込まれるものの、中国の鋼材増産、原油価格の高騰、米国経済の減速等の懸念もあることから、前年度比減を想定している。
この結果、2008年度の粗鋼生産は、内需増・輸出減を想定して、2007年度比80万トン増の1億1,880万トンと見通している。