No.266:粗鋼 前年比17ヵ月振り減、燃料油 前年比9.4%減 期末ながら東北大震災の影響を示す 経産省、主要工業製品の2011年3月の生産速報発表
No.267:普通鋼鋼材生産17ヵ月振りの前年同月比減 鉄連、2011年3月の普通鋼鋼材需給速報発表
No.268:燃料油生産 3ヵ月振りの前年同月比減 資源エネルギー庁、2011年3月の石油統計速報発表

平成23年4月28日(木)Vol.266

粗鋼 前年比17ヵ月振り減、燃料油 前年比9.4%減

期末ながら東北大震災の影響を示す

経産省、主要工業製品の2011年3月の生産速報発表

 
経済産業省は4月28日、主要工業製品の2011年3月の生産速報を発表した。以下、鉄鋼と資源エネルギー関係に絞って概要をみると、まず鉄鋼は3月の粗鋼生産量が909万トンと前月比で1.7%増だが、前年同月比で2.7%の減を示した。前年同月比は17ヵ月振りの減となった。

一方、資源エネルギー関係では、石油製品の3月の生産量が燃料油計で1 583万と前月比で6.0%減、前年同月比9.4%減となった。

鉄鋼、石油とも期末ながら、3月11日の東北大震災の影響を表して生産量が減少している。

3月の鉄鋼生産を品種別にみると、普通鋼の熱間圧延鋼材では、鋼帯が376.7で前月比3.4%増だが、前年同月比9.7%減。鋼板が113.2万トンで前月比8.6%増だが、前年同月比3.4%減。棒鋼が77.3万トンで前月比1.8%減、前年同月比2.9%減。形鋼が49.5万トンで前月比2.5%増、前年同月比1.7%増。線材が16.4万トンで前月比9.0%減だが、前年同月比8.1%増。普通鋼の冷間仕上・冷延広幅鋼帯は176.6万トンで前月比0.6%減のほぼ横這いだが、前年同月比は18.8%の大幅減。特殊鋼の熱間圧延鋼材は166.9万トンで前月比3.4%減、前年同月比5.3%減。メッキ鋼材の亜鉛メッキ鋼板は102.6万トンで前月比3.0%増だが、前年同月比16.0%の大幅減を示した。

また、3月の石油生産を油種別にみると、重油がA重油とB・C重油を合わせて343.8万で前月比8.3%減、前年同月比6.5%減。ガソリンが454.5万で前月比0.1%減とほぼ横這いだが、前年同月比9.4%減。軽油が335.3万で前月比1.1%の微増だが、前年同月比4.6%減。需要期の終わった灯油が196.0万で前月比23.1%の大幅減、前年同月比6.2%減。ナフサが156.9万で前月比17.0%の大幅減、前年同月比22.7%の大幅減。ジェット燃料油が96.8万で前月比23.6%の大幅増だが、前年同月比15.4%減となった。

3月のコークスは294.0万トンで前月比5.1%増だが、前年同月比8.4%減。液化ガスは32.2万トンで前月比19.3%の大幅減、前年同月比24.0%の大幅減となった。

鉄鋼生産速報 2011年3月 Excel

資源エネルギー生産速報 2011年3月 Excel

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平成23年4月28日(木)Vol.267

普通鋼鋼材生産17ヵ月振りの前年同月比減

鉄連、2011年3月の普通鋼鋼材需給速報発表

 
日本鉄鋼連盟は4月28日、2011年3月の普通鋼鋼材需給速報を発表した。概要は次の通り。

3月の普通鋼鋼材生産は、前年同月(686.0万トン)比49.1万トン・7.2%減の636.9万トンと17ヵ月振りの減少となった。また、前月比では20.5万トン・3.3%増加した。

3月の出荷は、国内向けは403.3万トンで、前年同月比では36.1万トン・8.2%減と15ヵ月振りに減少した。また、前月比では16.3万トン・4.2%増加した。輸出向けは268.1万トンで、前年同月比で26.8万トン・9.1%減となり、3ヵ月振りに減少した。また、前月比では44.1万トン・19.7%増加した。

この結果、出荷合計では、前年同月(734.4万トン)比63.0万トン・8.6%減の671.4万トンと17ヵ月振りの減少となった。また、前月比では60.4万トン、9.9%の増加となった。

3月末のメーカー・問屋在庫は、前月末(654.8万トン)比34.5万トン・5.3%減の620.3万トンで、4ヵ月振りに減少した。内訳をみると、メーカー在庫が前月末(537.7万トン)比43.3万トン・8.1%減の494.4万トンと4ヵ月振りに減少し、4ヵ月振りに500万トンを下回った。一方、問屋在庫は前月末(117.1万トン)8.8万トン・7.5%増の125.9万トンと2ヵ月振りに増加した。

国内・輸出別では、国内向在庫が前月末(513.5万トン)比5.0万トン・1.0%減の508.5万トンと2ヵ月連続して減少した。また、輸出船待在庫は前月末(141.3万トン)比29.5万トン・20.9%減の111.8万トンと3ヵ月振りに減少したが、昨年11月以降17ヵ月連続で100万トン台が続いている。

在庫増減についてみると、在庫が前月末比1万トン以上減少した品種は、鋼帯(幅600mm以上)(12.9万トン減の154.8万トン)、鋼板(4.6万トン減の67.9万トン)、小形棒鋼(4.2万トン減の56.4万トン)、冷延広幅帯鋼(2.9万トン減の60.5万トン)、H形鋼(1.9万トン減の24.4万トン)、鋼矢板(1.4万トン減の2.4万トン)、ティンフリースチール(1.4万トン減の7.7万トン)、普通線材(1.1万トン減の4.5万トン)、冷延電気鋼帯(1.0万トン減の10.8万トン)、亜鉛めっき鋼板(1.0万トン減の100.5万トン)であった。在庫が前月末比1万トン以上増加した品種は無かった。

3月末の在庫率(在庫÷出荷)は、前月末の107.2%から14.8ポイント低下し92.4%となり、4ヵ月振りに100%を下回った。うち、国内在庫率は前月末の132.7%から6.6ポイント低下し126.1%となった。

普通鋼鋼材需給速報 2011年3月 Excel

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平成23年4月28日(木)Vol.268

燃料油生産 3ヵ月振りの前年同月比減

資源エネルギー庁、2011年3月の石油統計速報発表

 
資源エネルギー庁は4月28日、2011年3月の石油統計速報を発表した。概要は次の通り。

1.原油の動向

3月の原油輸入量は1 864万、前年同月比93.7%と前年を下回った。輸入量の多い順に見ると、

(1)サウジアラビア(592万、前年同月比102.1%)、

(2)アラブ首長国連邦(448万、同96.1%)、

(3)イラン(210万、同96.2%)、

(4)カタール(209万、同85.1%)、

(5)クウェート(115万、同88.1%)、となっている。

なお、今月の中東依存度は90.9%、前年同月に比べ2.0ポイント増と2ヵ月連続して前年を上回った。

2.燃料油の生産

燃料油の生産は1 583万、前年同月比90.6%と3ヵ月振りに前年を下回った。油種別にみても、全油種(ガソリン、ナフサ、ジェット燃料油、灯油、軽油、A重油及びB・C重油)について前年同月を下回った。

3.燃料油の輸入、輸出

燃料油の輸入は256万、前年同月比99.8%と6ヵ月振りに前年を下回った。 輸出は196万、同84.6%と5ヵ月振りに前年を下回った。

4.燃料油の国内販売

燃料油の国内販売は1 688万、前年同月比94.7%と前年を下回った。油種別にみると、灯油及びB・C重油は前年同月を上回ったが、ガソリン、ナフサ、ジェット燃料油、軽油及びA重油は前年同月を下回った。

5.燃料油の在庫

燃料油の在庫は1 034万、前年同月比97.8%と前年を下回った。油種別にみると、ナフサは前年同月を上回ったが、ガソリン、ジェット燃料油、灯油、軽油、A重油及びB・C重油は前年同月を下回った。

石油統計速報 2011年3月 Excel

【紙・板紙】

◇概況

紙・板紙の国内出荷は前年同月比5.2%減、東日本 大震災の影響により5ヵ月振りの減少。うち、紙は 9.2%減、3月としてはリーマンショック後の21年の水 準を下回る数量。他方、板紙は0.9%増、伸び率は 鈍化するも5ヵ月連続のプラス。主要品種は震災関 連需要による衛生用紙、段ボール原紙を除き減 少。

紙・板紙の輸出は前年同月比18.3%減、7ヵ月連続 のマイナス。紙を中心に豪州向けが減少。 紙・板紙の在庫は被災による約6 900トンの滅失分 を含めて前月比72千トン減の1 851千トンとなった が、把握出来ていない滅失分を加算するともっと少 ない。

◇主要品種

新聞用紙の国内出荷は前年同月比14.0%減、主力 工場の被災や広告出稿の大幅な減少等もあり、21 年2月以来の2桁減。 印刷・情報用紙の国内出荷は前年同月比11.8% 減、主力工場の被災や震災以降の需要減により、 非塗工、塗工、情報とも2桁の落ち込み。輸出は 14.3%減、塗工紙を中心に6ヵ月連続のマイナス。 衛生用紙の国内出荷は前年同月比11.0%増、震災 関連需要により2桁増。 段ボール原紙の国内出荷は前年同月比1.5%増、 伸び率は鈍化するも支援物資の搬送や飲料向け の増加等もあり5ヵ月連続のプラス。他方、白板紙、 包装用紙は減少(白板紙2.0%減、包装用紙4.4% 減)。

【パルプ】

◇概況

3月の製紙パルプの生産は、紙生産が東日本大震災の影響を受け前年比9.3%減となったため、16ヵ月振りの前年割れとなった。品種別には、BKPは輸出は依然好調で6割増となったが、印刷・情 報用紙生産の11.2%減が大きく、同じく16ヵ月振りの前年割れとなった。 一方、UKPは主たる用途である重袋用クラフト紙の生産が5%増となったことや、段ボール原紙も 2.1%増となったことで、2.5%の増となった。機械パルプは、3ヵ月振りの前年割れとなった。

販売は、BKPが引続き好調で、円高基調にも拘らず輸出は6割増となり、国内販売の前年割れを カバーし11.2%増となり、製紙パルプ合計では6.3%増となった。 その結果、販売計ではBKPは18ヵ月連続、UKPは19ヵ月振りのマイナスとなったが、製紙パルプ 合計では17ヵ月連続のプラスとなった。

【パルプ材】

◇ 概況

消費量は、パルプの生産が震災の影響を受け前年比マイナスとなった事を受け、前年比7.2%減と16ヵ月振りのマイナスとなった(一部未把握)。一方、東北地区の工場を除くと前年比3%程度のプラスと前月並みであった。 ・ 集荷量は、合計で前年比10.7%減と8ヵ月振りにマイナスとなった。東北地区の工場を除くと前年比1.0%程度プラスとなる事からも震災の影響によるところが大きい。また、数量では前月に比べて14.5万トン減少して130.7万トンとなった。

在庫量は、前年比13.1%減と18ヵ月連続のマイナス、数量では前月より10.4万トンの減少となった。ただし、 震災による消失分は加味されていない。維持月数は1.1ヵ月で前月と同じ。

紙・パ統計速報 2011年3月 Excel

パルプ速報 2011年3 PDF

パルプ材速報 2011年3月 PDF

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