平成23年6月1日(水)Vol.271
鉱工業生産 現状停滞も先行き回復見込み
経産省、主要工業製品の2011年4月の生産速報発表
経済産業省は5月31日、2011年4月の鉱工業生産・出荷・在庫速報を発表した。概要は次の通り。
・今月は、生産が上昇、出荷は低下、在庫、在庫率は上昇であった。
・製造工業生産予測調査によると、5月、6月とも上昇を予測している。
・生産は、東日本大震災の影響により依然水準が低く停滞しているものの、先行きについては回復が見込まれる。
平成17年=100
項目 | 季節調整済指数 | 原指数 | ||
指数 | 前月比(%) | 指数 | 前年同月比(%) | |
生産 | 83.5 | 1.0 | 78.5 | ▲14.0 |
出荷 | 82.7 | ▲2.7 | 76.7 | ▲16.2 |
在庫 | 98.2 | 0.5 | 94.2 | 3.3 |
在庫率 | 124.4 | 14.5 | 123.5 | 18.5 |
1. 4月の生産・出荷・在庫動向
◇生産
4月の生産は、前月比1.0%の上昇と2ヵ月振りの上昇(前年同月比は▲14.0%の低下)となり、指数水準は83.5(季節調整済)となった。生産の上昇に寄与した業種は、一般機械工業、その他工業、電気機械工業等であった。品目別にみると、蒸気タービン部品、半導体製造装置、分析機器の順に上昇に寄与している。
◇ 出荷
4月の出荷は、前月比▲2.7%の低下と2ヵ月連続の低下(前年同月比は▲16.2%の低下)となり、指数水準は82.7(季節調整済)となった。出荷の低下に寄与した業種は、輸送機械工業、電子部品・デバイス工業、情報通信機械工業等であった。
◇在庫
4月の在庫は、前月比0.5%の上昇と2ヵ月振りの上昇(前年同月比は3.3%の上昇)となり、指数水準98.2(季節調整済)となった。在庫の上昇に寄与した業種は、輸送機械工業、石油・石炭製品工業、精密機械工業等であった。 4月の在庫率は、前月比14.5%と2ヵ月連続の上昇(前年同月比は18.5%の上昇)となり、指数水準は124.4(季節調整済)となった。
2. 製造工業生産予測調査
製造工業生産予測調査によると、5月は前月比8.0%の上昇、6月は同7.7%の上昇であった。5月の上昇は、輸送機械工業、一般機械工業、電子部品・デバイス工業等により、6月の上昇は、輸送機械工業、電子部品・デバイス工業、情報通信機械工業等による。
4月の実現率は▲5.4%、5月の予測修正率は▲0.6%となった。
平成17年=100
平成23年4月 | 平成23年5月 | 平成23年6月 | |
平成23年4月調査 | 3.9 | 2.7 | |
平成23年5月調査 | 8.0 | 7.7 |
3. まとめ
4月の生産は、前月比1.0%の上昇となった。また、製造工業生産予測調査によると、5月、6月とも上昇を予測している。生産は、東日本大震災の影響により依然水準が低く停滞しているものの、先行きについては回復が見込まれる。
鉱工業生産・出荷・在庫速報 2011年4月 PDF
平成23年6月1日(水)Vol.272
粗鋼 前年比2ヵ月連続減、燃料油 前年比13.4%減
経産省 2011年4月の鉱工業生産・出荷・在庫速報発表
経済産業省は5月31日、主要工業製品の2011年4月の生産速報を発表した。以下、鉄鋼と資源エネルギー関係に絞って概要をみると、まず鉄鋼は4月の粗鋼生産量が843.3万トンと前月比で7.5%減、前年同月比で6.2%の減を示した。前年同月比は2ヵ月連続の減となった。
一方、資源エネルギー関係では、石油製品の4月の生産量が燃料油計で1 413.8万と前月比で10.7%減、前年同月比13.4%の2桁減となった。
鉄鋼、石油とも期末ながら、東北大震災の影響を表して生産量が減少している。
4月の鉄鋼生産を品種別にみると、普通鋼の熱間圧延鋼材では、鋼帯が323.9で前月比14.1%減、前年同月比9.7%減。鋼板が105.4万トンで前月比6.9%減だが、前年同月比14.1%の2桁増。棒鋼が82.5万トンで前月比6.8%増、前年同月比5.9%増。形鋼が53.1万トンで前月比7.3%増、前年同月比30.9%の大幅増。線材が16.2万トンで前月比6.5%増だが、前年同月比8.4%減。普通鋼の冷間仕上・冷延広幅鋼帯は153.1万トンで前月比13.3%減、前年同月比は20.5%の大幅減。特殊鋼の熱間圧延鋼材は153.1万トンで前月比11.2%減、前年同月比6.8%減。メッキ鋼材の亜鉛メッキ鋼板は91.6万トンで前月比10.4%減、前年同月比17.5%の大幅減を示した。
また、4月の石油生産を油種別にみると、重油がA重油とB・C重油を合わせて312.4万で前月比9.1%減、前年同月比11.2%減。ガソリンが431.1万で前月比5.1%減、前年同月比13.1%減。軽油が284.0万で前月比15.3%、前年同月比16.7%減。需要期の終わった灯油が196.0万で前月比23.1%の大幅減、前年同月比6.2%減。ナフサが133.1万で前月比15.2%減、前年同月比24.6%の大幅減。ジェット燃料油が84.1万で前月比13.0%減、前年同月比31.0%の大幅減と、ほとんどの品目が前月比。前年同月比とも2桁の減を示した。
4月のコークスは288.8万トンで前月比1.8%減、前年同月比8.0%減。液化ガスは37.1万トンで前月比15.2%の2桁増だが、前年同月比4.6%の減となった。
鉄鋼生産速報 2011年4月 Excel
資源エネルギー生産速報 2011年4月 Excel
平成23年6月1日(水)Vol.273
紙・板紙 震災の影響で2ヵ月連続国内出荷減少
日本製紙連合 2011年4月の紙・板紙需給速報発表
日本製紙連合はこのほど、2011年4月の紙・板紙需給速報を発表した。概要は次の通り。
【概況】
・ 紙・板紙の国内出荷は前年同月比3.3%減、落ち幅は縮小(3月5.5%減)も、震災の影響等により2ヵ月連続の減少。うち、紙は5.2%減、3ヵ月連続。板紙は0.8%減、ほぼ横ばいも6ヵ月振りの減少。主要品種は衛生用紙、包装用紙、白板紙を除き減少。
・ 紙・板紙の輸出は前年同月比49.1%減、前年割れ は8ヵ月連続。紙を中心に豪州、中国向けが減少。
・ 紙・板紙の在庫は前月比86千トン減。うち、紙は71 千トン減、板紙は15千トン減、震災等による在庫滅 失は8千トン(累計1万5千トン)。
【主要品種】
・ 新聞用紙の国内出荷は前年同月比6.3%減、落ち 幅は縮小(3月12.4%減)も、主力工場の被災や広告 出稿の減少等が影響。
・ 印刷・情報用紙の国内出荷は前年同月比7.1%減、主力工場の被災や震災以降の需要減の継続等が影響。輸出は60.1%減、主力の塗工紙を中心に7ヵ月連続の減少。なかでも、微塗工紙はほぼ壊滅。
・ 衛生用紙の国内出荷は前年同月比2.3%増、伸び率は鈍化(3月7.8%増)も、震災関連需要等もあり堅調。
・ 段ボール原紙の国内出荷は前年同月比1.5%減、 後半以降一部需要は回復するも、震災後の需要家 の在庫積み増しの反動等もあり6ヵ月振りの減少。他方、白板紙、包装用紙は前月の減少から増加(白板紙3.8%増、包装用紙0.0%増)。
【パルプ 4月の概況】
・ 4月の製紙パルプの生産は、東日本大震災の影響を受け紙生産が11.5%減となったため、前年比7.7%減となり、2ヵ月連続の前年割れとなった。品種別には、BKPは印刷・情報用紙の生産が18.5%減により、前月に続き大幅減となった。UKPは主たる用途である重袋用クラフト紙の生産は4%増となったが、段ボール原紙は逆に4%減となったため、前年割れとなった。
・ 販売では、BKPが、2009年10月以来18ヵ月振りのマイナスとなった。BKPの輸出は生産減から減少し、ピークであった平成23年2月の約30千トンの半分となる約16千トンにまで大きく落ち込んだ。一方でUKPの販売は2カ月振りに増加した。その結果、製紙パルプ合計では18ヵ月振りのマイナスとなった。
【パルプ材 4月の概況】
・ 消費量は、パルプの生産が震災の影響を受け前月に続き前年比マイナスとなった事を受け、前年比7.6%減と2ヵ月連続のマイナスとなった。数量でも前月に比べ15.5万トンの減少となった。しかし、東北地区の工 場を除くと前年比は2.4%増であった。
・ 集荷量は、合計で前年比4.6%増と、震災の影響を受けた前月の大幅なマイナスからプラスに転じた。また、数量では前月に比べて9.2万トン増加して139.8万トンとなった。一方、東北地区の工場を除いた分では前 年比10.7%増となっており、特に北海道地区は前年比66.7%増と高かった。
・ 在庫量は、前年比1.4%減と19ヵ月連続のマイナスであったが、数量では前月に対して消費減、集荷増により前月比べて14.5万トンの増加となった。ただし、震災による消失分等は加味されていない。維持月数は 1.2ヵ月と前月より0.1ポイント上昇した。
紙・板紙需給速報 2011年4月 PDF
パルプ需給速報 2011年4月 PDF
パルプ材需給速報 2011年4月 PDF
平成23年6月1日(水)Vol.274
四輪車は7ヵ月連続、二輪車は4ヵ月前年同月比減
自工会 2011年4月の自動車生産速報発表
日本自動車工業会は5月31日、2011年4月の自動車生産速報を発表した。概要は次の通り。
【四輪車】
4月の四輪車生産台数は292 001台で、前年同月の731 829台に比べて439 828台・60.1%の減少となり、7ヵ月連続で前年同月を下回った。
4月の車種別生産台数と前年同月比は次のとおり。
乗用車249 772台で377 548台・60.2%の減少となり、7ヵ月連続のマイナス。このうち普通車は148 097台で227 561台・60.6%の減少、小型四輪車は52 276台で98 960台・65.4%の減少、軽四輪車は49 399台で51 027台・50.8%の減少。
トラック40 305台で54 579台・57.5%の減少となり、5ヵ月連続のマイナス。このうち普通車は15 440台で25 025台・61.8%の減少、小型四輪車は7 762台で9 995台・56.3%の減少、軽四輪車は17 103台で19 559台・53.3%の減少。
バス1 924台で7 701台・80.0%の減少となり、2ヵ月連続のマイナス。このうち大型は290台で766台・72.5%の減少、小型は1 634台で6 935台・80.9%の減少。
4月の国内需要は185 673台で、前年同月比47.3%の減少であった。 (うち乗用車153 530台で前年同月比48.5%の減少、トラック31 724台 で同40.4%の減少、バス419台で同53.7%の減少。)
輸出は前年同月比32.2%。(実績)
また、1~4月の生産累計は2 197 701台で、前年同期の3 272 552台に比べ1 74 851台・32.8%の減少であった。 このうち乗用車は1 893 499台で946 847台・前年同期比33.3%の減少、トラックは278 447台で116 941台・同29.6%の減少、バスは25 755台で11 063台・同30.0%の減少であった。
【二輪車】
4月の二輪車生産台数は43 741台で、前年同月の54 822台に比べ11 081台・20.2%の減少となり、4ヵ月連続で前年同月を下回った。
4月の車種別生産台数と前年同月比は次のとおり。
原付第一種 7 028台で 740台・11.8%の増加。
原付第二種 2 984台で 1 561台・34.3%の減少。
軽二輪車 5 388台で 1 109台・17.1%の減少。
小型二輪車 28 341台で 9 151台・24.4%の減少。
4月の国内需要(出荷)は34 231台で、前年同月比10.0%の増加となった。(うち原付第一種24 558台で前年同月比25.4%の増加、原付第二種5 722台で同10.2%の減少、軽二輪車2 190台で同3.5%の増加、小型二輪車1 761台で同42.1%の減少。)
輸出は前年同月比68.6%。(実績)
また、1~4月の生産累計は194 168台で、前年同期の235 499台に比べ41 331台・17.6%の減少であった。 このうち原付第一種は29 832台で6 834台・前年同期比29.7%の増加、原付第二種は14 592台で7 410台・同33.7%の減少、軽二輪車は22 633台で7 837台・同25.7%の減少、小型二輪車は127 111台で32 918台・同20.6%の減少であった。
四輪車生産実績速報 2011年4月 PDF
二輪車生産実績速報 2011年4月 PDF