No.479:「海運重要」88%で昨年比1.4%低下海事センターが海に関する国民意識調査2013を公表

平成25年7月16日(火)Vol.479

「海運重要」88%で昨年比1.4%低下

海事センターが海に関する国民意識調査2013を公表

 
日本海事センターは5月21日から6月5日、国民の海に関する意識の現状を把握し、今後の海事思想の普及に向けた方途を探るため、全国の男女600名を対象に、郵送による「海に関する国民意識調査2013」を実施し、このほどその結果を公表した。

この調査は今回で6回目。2008年から2012年まではインターネット調査、昨年からは郵送調査。昨年はインターネット調査と郵送調査の双方を実施した。

調査結果は次の通り。

【調査結果のポイント】

海との関わり

「海が好き」と回答した人は69.3%(昨年より0.5ポイント減)、「海が嫌い」と回答した人は2.7%(昨年より0.5ポイント減)、「どちらともいえない」が28.0%(昨年より1ポイント増)。

過去1年で船に乗ったことがあると回答した人は全体の4分の1強。

10代で「海が好き」と回答した人は56.9%(昨年は60.9%)と、各年代の中で最も低い。

海が好きな理由としては、「落ち着く/癒される/安らぐ/心が和む/リラックスできる/安心感がある」(86件)がここ4回の調査で毎回、最も多い回答となっている。

一方、海が嫌いな理由の上位は「危険/海は怖い」(24件)、「津波が怖い/震災の影響」(17件)となっている。

「海」と聞いて連想するものは「レジャー」と「観光」(合計68.1%(昨年は65.3%))。

今回初めて行った「船に乗ったことがあるか否か」の設問に、過去1年で船に乗ったことがあると回答した人は全体の4分の1強で、さらにそのほとんどが乗った回数を「1回」と答えている。

1度も乗ったことがないと回答した人は世代別で10代が最も多く、続いて20代、続いて40代。逆に、1回以上船に乗ったことがあると回答した人は、世代別で60代が最も多い。

「海の日」や「海の月間」に対する意識

「海の日」「海の月間」の認知度を高めるためには魅力的なイベントが必要。

「海の日」「海の月間」に催されるイベントに関し、今回「海にちなんだもの」という条件を加えて参加の有無などについて聞いたところ、多くの項目でポイントが下がったことから、イベントは知っていても、「海にちなんだイベント」と意識していない人が多いことが伺えた。

イベントの情報をどこから入手したかという設問で、「テレビ」「新聞」「ラジオ」と回答した人の割合(合計で108.7%(昨年より25.2ポイント減))が低下している。

一方「パンフレット・チラシ・冊子」と回答した人の割合は20.7%(昨年より7.7ポイント増)。

「海の日」「海の月間」に催されるイベントについて、今後参加してみたいものを聞いたところ、「海にちなんだ花火大会」(51.2%)が圧倒的に多かった。

また、世代別で「参加したいものはない」と回答した人の割合が最も多い世代が10代、続いて30代。「海の日」「海の月間」の認知度を高めるためには、これらの世代に対して、海にちなんだ魅力的なイベントが必要と思われる。

海事教育に対する意識

水難事故の原因として考えられるのは「海の危険に対する認識不足」、「警告無視等の違反行為」、「飲酒後の海水浴」。

行楽シーズンに多発する水難事故の原因について今回初めて設問したところ、「海の危険に対する認識不足」(87.3%)、「警告無視等の違反行為」(48.5%)、「飲酒後の海水浴」(37.7%)を挙げた人が多く、事故当事者の責任を問う傾向がみられた。

ここ4、5年で自分又は家族が海事教育を体験した人の割合は全体の25.2%。

その内容は「乗船体験」、「学校での授業」、「海洋施設や船の見学会」。

海事教育に積極的に取り組んでほしいと思う主体については、「学校」が昨年から12ポイント増加の56.5%で1位となった。「海関係の団体」、「地域」の数値も増加していることから、海事教育に対するニーズの高まりが見てとれる。

◇日本の海運に対する意識

海運(海上輸送)は「とても重要だと思う」「重要だと思う」「まあ重要だと思う」の合計は88.3%(昨年より1.4ポイント低下)。

海運を重要と回答した理由については、「島国だから/海に囲まれているから/海洋国家だから」、「輸出入にとって必要/貿易にとって必要」、「大量輸送が可能」が上位で例年同様。

海運は他の輸送・交通手段に比べて、環境に優しいと認識している人は半数以下(49.5%)で、その正解率は低下傾向にある。

海賊問題の認知度は全体では79.2%と高いが、20~40代は75%前後。

海の職業と施策に対する意識

船員のイメージや役割・重要性の理解向上と海事産業の人材育成・人材確保のための継続的な取り組みが必要。

もっと知りたい海事産業は、「海洋資源・開発」が5割強とダントツ。

&quot 海の職業&quot の認知度は、1位「海上保安官」(76.2%)、2位「海上自衛官」(75.2%)、3位「船員(含:船長、航海士、機関長、機関士、通信士)」(70.2%)、4位「造船技術士」(35.7%)、5位「水先人(パイロット)」(28.0%)の順。「海上自衛官」と「造船技術士」は昨年より順位を1つ上げている。

今回初めて行った海事産業の重要性に関する設問で「重要だと思う」と回答した人の割合は92.2%と高い。もっと知りたい海事産業は、「海洋資源・開発」が5割強とダントツ。続いて「海運業」が約3割、「造船業」、「倉庫・物流」が約2割。

今後必要な海に関する取り組みとして、「海の安全確保」、「海洋資源の開発・利用」、「海洋環境保全」、「エネルギー・食料などの安定輸送の確保」、「海の自然災害対応」、「船舶の安全航行」の6つの項目はそれぞれ50%を超え、それぞれの項目の間に差がなくなる傾向がみられる。

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