No.694: 生産は5カ月連続減少なし 経産省 28年12月の鉱工業生産・出荷・在庫速報発表
No.695: 燃料油国内販売前年比09%減 経産省 12月の石油統計速報発表
No.696: 28年の粗鋼生産 前年比0.3%の微減 燃料油生産は前年比0.7%の微増 経産省 28年12月と暦年の生産動態統計速報発表

平成29年2月9日(木)Vol.694

生産は5カ月連続減少なし

経産省 28年12月の鉱工業生産・出荷・在庫速報発表

 
経済産業省は1月31日、平成28年12月の鉱工業生産・出荷・在庫速報を発表した。同省では12月の特長として、①生産、在庫、在庫率は上昇、出荷は低下であった ②製造工業生産予測調査によると1月、2月ともに上昇を予測している ③総じてみれば生産は持ち直しの動きがみられる、としている。概要は次の通り。

鉱工業生産は、5カ月連続で前月比低下なしだった。29年1月、2月の生産計画は水準維持または若干の増産御見込まれ、電子部品・デバイス工業の生産、出荷が回復するとみられている。

28年12月の「生産」は、季節調整済指数100.4、前月比0.5%と2カ月連続上昇だった。これで、28年10月の横ばいを挟んで、5カ月間前月比マイナスがない状態が続いている。

ただ、この12月速報で計算すると28年の指数値は97.6で、残念ながら前年比マイナス0.2%低下となった。12カ月のうち7カ月が前年同月比マイナスで、半分以上の月で前年水準を上回れることができなかった。24年後半の落ち込みが大きく、28年年初の水準が低くなっていたので、28年後半の勢いだけでは、前年水準を上回れなかったのは、致し方ない。

平成22年(2010年)=100

注1:()内は前月における確報値・前月比。 注2:▲はマイナスを示す。
項目 季節調整済指数 原指数
指数 前月比(%) 指数 前年同月比(%)
生産(前月値) 100.4(99.9) 0.5(1.5) 100.7(101.9) 3.0(4.6)
出荷(前月値) 99.0(99.3) ▲0.3(1.0) 100.6(100.8) 2.4(5.1)
在庫(前月値) 107.1(106.9) 0.2(▲1.6) 106.7(109.9) ▲5.0(▲4.8)
在庫率(前月値) 108.8(107.8) 0.9(▲5.6) 105.8(109.4) ▲6.5(▲6.7)

graph-01

 

12月の出荷は、指数値99.0、前月比マイナス0.3%低下と4カ月振りの前月比低下となった。28年第4四半期の鉱工業出荷は前期比3.5%上昇で、前期比上昇も3期連続だが、前期比上昇幅が大きくなり、10四半期振りに前年同期水準を上回った。しかし、生産同様に27年後半の落ち込みが大きく、28年当初の出荷水準が低くなっていた。そのため、28年後半の出荷の勢いの回復だけでは、前年比上昇には及ばず、28年の鉱工業出荷は前年比マイナス0.8%低下に留まった。

graph-02

12月の出荷は、指数値99.0、前月比マイナス0.3%低下と4カ月振りの前月比低下となった。28年第4四半期の鉱工業出荷は前期比3.5%上昇で、前期比上昇も3期連続だが、前期比上昇幅が大きくなり、10四半期振りに前年同期水準を上回った。しかし、生産同様に27年後半の落ち込みが大きく、28年当初の出荷水準が低くなっていた。そのため、28年後半の出荷の勢いの回復だけでは、前年比上昇には及ばず、28年の鉱工業出荷は前年比マイナス0.8%低下に留まった。

製造工業生産予測調査 (季節調整済前月比(%))

平成22年(2010年)=100

注)▲はマイナスを示す。
平成28年12月 平成29年1月見込み 平成29年2月見込み
平成29年1月調査(今回) 3.0 0.8
平成28年12月調査(前回) 2.0 2.2

製造工業生産予測調査の試算値 (季節調整済前月比(%))

平成22年(2010年)=100

注)▲はマイナスを示す。
試算値 予測調査結果
1月前月比 0.5%
(▲0.5%~1.5%)
3.0%

29年1月実施の予測調査の結果は、調査結果そのままでは前月比3.0%上昇だが、傾向的な過大予測バイアスを補正すると、前月比0.5%上昇の計算結果となる。

2月の生産計画は、補正なしで1月比0.8%上昇となる。1月の生産実績がこの生産計画から多少低下すること及び生産計画は下方修正されることを踏まえれば、2月も生産水準が維持され、場合によっては前月比上昇となる可能性もあるといった評価になるものと思われる。

業種的な動きを見ると、28年12月の鉱工業生産への影響度、寄与が大きいのは、輸送機械工業、医薬品を除く化学工業、電子部品・デバイス工業、電気機械工業の上位4業種である。その中でも、12月は輸送機械工業の影響度合いが2位以下の業種の倍以上の大きさとなっており、寄与が大きくなっている。

graph-03

業種別の29年1月、2月の生産計画を見ると、1月については、汎用・生産用・業務用機械工業、電子部品・デバイス工業、情報通信機械工業、電気機械工業の4業種の上昇寄与が大きくなっている。2月の生産計画を引き上げているのは、輸送機械工業と電子部品・デバイス工業である。

graph-04

今回の指数結果の業種別の特徴は、電子部品・デバイス工業が生産、出荷ともに3カ月連続で上昇している他、半導体や電子部品の材料となるファインセラミックスの機能材の生産、出荷が好調となっていることが挙げられる。スマホ向けの部品、その部品向けの材料の出荷が旺盛であることによる。大型の液晶も好調であることなどから、アジアにおける電子機器生産からの引き合いの勢いが戻っているともみられる。

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平成29年2月9日(木)Vol.695

燃料油国内販売前年比09%減

経産省 12月の石油統計速報発表

 
経済産業省は1月31日、平成28年12月の石油統計速報を発表した。概要は次の通り。

【原油の動向】

28年12月の原油輸入量は1,781万㎘、前年同月比103.0%と6カ月振りに前年を上回った。輸入量の多い順にみると次の通りとなっている。

(1)サウジアラビア(703万㎘、前年同月比122.8%)

(2)アラブ首長国連邦(415万㎘、同107.2%)

(3)カタール(173万㎘、同119.2%)

(4)イラン(121万㎘、同140.7%)

(5)クウェート(87万㎘、同54.9%)

12月の中東依存度は86.8%、前年同月に比べ7.0ポイント増と14カ月連続して前年を上回った。

【燃料油の生産】

燃料油の生産は1,663万㎘、前年同月比101.5%と2カ月連続して前年を上回った。油種別にみると、ガソリン、ナフサ、灯油及びA重油は前年同月を上回ったが、ジェット燃料油、軽油及びB・C重油は前年同月を下回った。

【燃料油の輸入・輸出】

燃料油の輸入は304万㎘、前年同月比91.7%と11カ月連続して前年を下回った。輸出は265万㎘、同104.9%と3カ月振りに前年を上回った。

【燃料油の国内販売】

燃料油の国内販売は1,747万㎘、前年同月比99.1%と前年を下回った。油種別にみると、灯油、軽油、A重油及びB・C重油は前年同月を上回ったが、ガソリン、ナフサ及びジェット燃料油は前年同月を下回った。

【燃料油の在庫】

燃料油の在庫は936万㎘、前年同月比89.1%と17カ月連続して前年を下回った。油種別にみても、全油種(ガソリン、ナフサ、ジェット燃料油、灯油、軽油、A重油及びB・C重油)について前年同月を下回った。

※添付資料

石油統計概要 平成28年12月 Excel

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平成29年2月9日(木)Vol.696

28年の粗鋼生産 前年比0.3%の微減

燃料油生産は前年比0.7%の微増

経産省 28年12月と暦年の生産動態統計速報発表

 
経済産業省と資源エネルギー庁は1月31日、平成28年12月及び平成28年暦年(1〜12月)の生産動態統計速報を発表した。それによると粗鋼生産量は12月が871.6万トンで前月比1.1%、前年同月比1.5%のともに増となり、暦年では1億477.6万㌧で前年比0.3%の微減となった。

また、石油製品生産量は12月の燃料油計が1,663.0万㎘と前月比12.3%の2桁増で、前年同月比も1.5%の増となり、暦年では1億8,006.9万㎘で前年比0.7%の微増となった。

【12月の鉄鋼生産】

炉別生産をみると、転炉鋼が672.7万㌧と前月比2.3%増、前年同月比0.3%増、電炉鋼が198.4万㌧と同3.0%減、同5.7%増となり、前年同月比でみると転炉鋼は2カ月振りの増加、電炉鋼は3カ月連続の増加となった。

鋼種別生産では、普通鋼が671.4万㌧と前月比1.3%増、前年同月比0.7%増、特殊鋼が199.7万㌧と同0.3%増、同4.2%増となり、前年同月比では普通鋼は4カ月振りの増加、特殊鋼は8カ月連続の増加となった。

熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は768.3万㌧と前月に比べ6.9万㌧、0.9%減、前年同月比では1.9%増と5カ月連続の増加となった。10~12月では2,346.2万㌧と前年同期比2.3%増となった。

普通鋼熱間圧延鋼材の生産は596.7万㌧と前月に比べ14.4万㌧、2.4%減、前年同月比では0.8%減と3カ月振りの減少となった。10~12月では1,837.2万㌧と前年同期比0.7%増となった。

品種別では、条鋼類は151.5万㌧、前月比3.4%減、前年同月比6.4%増で、前年同月比では3カ月連続の増加となった。鋼板類は441.8万㌧、同1.8%減、同3.1%減となり、前年同月比では2カ月連続の減少となった。

主要品種の生産内訳をみると、普通鋼では鋼帯が363.2万トンと前月比0.4%の微減で、前年同月比も2.6%減。冷延広幅帯鋼が155.0万トンと前月比1.4%、前年同月2.4%増。鋼板が80.6万トンと前月比5.1%、前年同月比3.1%のともに減。小形棒鋼が69.4万トンと前月比3.2%減だが、前年同月比6.4%増。H形鋼が31.5万トンと前月比2.3%減だが、前年同月比4.6%増となった。

特殊鋼では、熱間圧延鋼材が172.1万トンと前月比4.9%増で、前年同月比13.0%の2桁増。冷延広幅鋼帯が22.0トンと前月比0.3%の微減だが、前年同月比1.5%増となった。

熱間鋼管では、普通鋼が34.3万トンと前月比9.3%減だが、前年同月2.6%増。特殊鋼が17.4万トンと前月比5.3%増で、前年同月比65.5%の大幅増となった。

めっき鋼材では、亜鉛めっき鋼板が93.0万トンと前月比6.1%、前年同月比7.5%のともに増となった。

【12月の鉄鋼出荷】

出荷を品目別にみると、普通鋼の鋼帯が180.7万トンと前月比0.2%の微増だが、前年同月比5.9%減。鋼板が81.2万トンと前月比8.5%、前年同月比4.3%のともに減。小形棒鋼が68.5万トンと前月比5.5%減だが、前年同月比5.0%増。H形鋼が30.7万㌧で前月比、前年同月比ともに2.0%の減。冷延広幅帯鋼が55.7万トンと前月比7.3%減だが、前年同月比1.7%増となった。

特殊鋼の熱間圧延鋼材は121.5万トンと前月比2.5%減だが、前年同月比5.9%減。冷延広幅帯鋼は19.8万トンと前月比9.6%、前年同月比3.8%のともに減となった。

熱間鋼管では、普通鋼が31.3万トンと前月比4.5%減だが、前年同月比4.4%増。特殊鋼が15.1万トンと前月比9.3%減だが、前年同月比66.6%の大幅増となった。

めっき鋼板では、亜鉛めっき鋼板が88.1万トンと前月比5.0%減だが、前年同月比2.6%増となった。

【28年の鉄鋼生産】

炉別生産では、転炉鋼が8,151.3万㌧(前年比0.5%増)、電炉鋼が2,325.9万㌧(同3.3%減)となり、電炉鋼比率は前年比0.7ポイント低下の22.2%となった。

鋼種別では普通鋼が8,073.9万㌧(前年比1.2%減)、特殊鋼が2,403.2万㌧(同2.5%増)となった。

熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は9,261.9万㌧と前年に比べ40.1万㌧、0.4%減と2年連続の減少となった。

主要品種の生産内訳をみると、普通鋼では鋼帯が4,445.1万トンと前年比0.7%の微減。冷延広幅帯鋼が1,850.9万トンと前年比3.2%減。鋼板が1,031.3万トンと前年比0.5%の微減。小形棒鋼が100.4万トンと前年比5.5%減。H形鋼が377.0万トンと前年比5.5%減となった。

特殊鋼では、熱間圧延鋼材が1,944.9万トンと前年比3.0%増。冷延広幅鋼帯が271.2トンと前年比2.0%増となった。

熱間鋼管では、普通鋼が417.9万トンと前年比2.1%減。特殊鋼が178.7万トンと前年比16.0%の2桁増となった。

めっき鋼材では、亜鉛めっき鋼板が1,068.7万トンと前年比1.9%減となった。

【28年の鉄鋼出荷】

出荷を品目別にみると、普通鋼の鋼帯が2,235.0万トンと前年比0.5%の微減。鋼板が1,027.0万トンと前年比0.5%の微減。小形棒鋼が837.2万トンと前年比3.2%減。H形鋼が375.8万㌧で前年比5.6%減。冷延広幅帯鋼が677.9万トンと前年比3.0%増となった。

特殊鋼の熱間圧延鋼材は1,429.1万トンと前年比0.8%の微増。冷延広幅帯鋼は251.8万トンと前年比2.1%増となった。

熱間鋼管では、普通鋼が367.0万トンと前年比1.5%減。特殊鋼が151.1万トンと前年同月比7.0%増となった。

めっき鋼板では、亜鉛めっき鋼板が1,053.8万トンと前年比1.4%減となった。

【12月の石油生産】

12月の生産を油種別にみると、重油が308.6万㎘と前月比9.0%増だが、前年同月比0.5%の微減。ガソリンが490.3万㎘で前月比12.7%の2桁増で、前年同月比0.2%微増。軽油が354.3万㎘と前月比2.5%増だが、前年同月比3.0%減。灯油が207.3万㎘と前月比52.5%の大幅増で、前年同月比も16.6%の2桁増。ナフサが194.1㎘と前月比18.3%の2桁増で、前年同月比も7.6%増。ジェット燃料油が108.3万㎘と前月比7.5%、前年同月比6.6%のともに減。液化石油ガスが34.6万トンと前月比16.6%の2桁増で、前年同月比も7.4%増。アスファルトが31.7万トンと前月比41.5%の大幅増で、前年同月比も11.7%の2桁増。潤滑油が22.4万㎘と前月比11.3%の2桁増で、前年同月比も9.8%増となった。

【12月の石油出荷】

出荷を油種別にみると、重油が322.0万㎘と前月比10.2%の2桁増で、前年同月比0.6%の微増。ガソリンが496.1万㎘と前月比12.2%の2桁増だが、前年同月比3.7%減。軽油が366.5万㎘と前月比42.4%の大幅増で、前年同月比1.2%増。灯油が366.5万㎘と前月比5.2%、前年同月比3.3%のともに増。ナフサが408.1万㎘と前月比10.7%の2桁増だが、前年同月比2.1%減。ジェット燃料油が114.4万㎘と前月比13.7%の2桁減で、前年同月比も2.7%減。液化石油ガスが45.4万トンと前月比9.9%増だが、前年同月比7.5%減。アスファルトが20.2万トンと前月比6.5%、前年同月比6.8%のともに増。潤滑油が24.3万㎘と前月比12.9%の2桁増で、前年同月比も20.3%の大幅増となった。

【28年の石油生産】

28年の生産を油種別にみると、重油が3,312.1万㎘と前年比0.7%の微増。ガソリンが5,410.9万㎘で前年比0.4%の微減。軽油が4,107.4万㎘と前年比2.4%減。灯油が1.589.8万㎘と前年比2.4%増。ナフサが2,000.2㎘と前年比4.1%増。ジェット燃料油が1,586.4万㎘と前年比0.5%の微減。液化石油ガスが419.9万トンと前年比4.0%減。アスファルトが320.5万トンと前年比1.9%減。潤滑油が249.7万㎘と前年比5.7%増となった。

【28年の石油出荷】

出荷を油種別にみると、重油が3,401.2万㎘と前年比0.2%の微減。ガソリンが5,518.2万㎘と前年比2.2%減。軽油が4,244.0万㎘と前年比2.9%減。灯油が1,694.8万㎘と前年比2.4%減。ナフサが4,417.8万㎘と前年比0.8%の微増。ジェット燃料油が1,626.9万㎘と前年比0.1%の微減。液化石油ガスが537.2万トンと前年比13.2%の2桁減。アスファルトが214.6万トンと前年比2.4%増。潤滑油が269.0万㎘と前年比も4.2%増となった。

【コークス・石灰石】

12月のコークスの生産は281.8万トンと前月比2.6%、前年同月比4.1%のともに増。出荷は69.1万トンと前月比3.3%、前年同月比3.7%のともに減。石灰石の生産は1,239.5万トンと前月比1.7%増で、前年同月比も0.6%の微減。出荷は980.6万トンと前月比2.0%、前年同月比1.0%のともに増を示した。

暦年のコークスの生産は3,315.9万トンと前年比2.3%増。出荷は860.2万トンと前年比2.3%減。石灰石の生産は13,932.0万トンと前年比2.5%減。出荷は11,175.4万トンと前年比3.0%減を示した。

※添付資料

鉄鋼主要製品生産速報 平成28年12月 Excel

資源エネルギー統計速報 平成28年12月 Excel

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