No.703: 1四期は連続4期前期比増 経産省 3月の鉱工業生産・出荷・在庫速報発表
No.704: 鉄鋼生産 前月・前年比とも微増 燃料油生産 前月比増で前年比減 経産省 3月の生産動態統計速報発表
No. 705: 燃料油国内販売4カ月連続減 エネ庁 3月の石油統計速報発表

平成29年5月1日(月)Vol.703

1四期は連続4期前期比増

経産省 3月の鉱工業生産・出荷・在庫速報発表

 

経済産業省は4月28日、3月の鉱工業生産・出荷・在庫速報を発表した。同省では今回の統計について、「3月の鉱工業生産は前月比2.1%低下した。第1四半期は前期比0.1%上昇で4期連続の前期比上昇となるが、汎用・生産用・業務用機械工業と電子部品・デバイス工業が低下した。先行き計画は、4月が増産計画だが、5月は輸送用機械工業の低下による減産計画で、基調は据置“持ち直し”の動きの見通しに据え置いた」としている。詳細は次の通り。

平成29年3月の「生産」は、季節調整済指数99.6、前月比マイナス2.1%低下となった。前年同月比は3.3%上昇で、5カ月連続で前年同月比上昇が続いている。2月の前月比上昇幅がプラス3%以上あったので、3月低下でも1月の生産水準よりも高い水準を維持している。

今年の第1四半期は、3カ月中2回が前月比低下だったが、昨年12月の生産水準が高く、いわゆる「発射台」が高かったことと、2月の前月比上昇幅が大きかったことから、四半期ベースで前期比0.1%プラスとなった。これで4四半期、つまり1年間通じて前期比上昇となっている。

平成28暦年では、鉱工業生産が前年比マイナスだっが、平成28年度では前年度比1.1%上昇となり3年度振りにプラスとなった。

第1四半期末の3月の鉱工業生産は前月比低下だったが、四半期単位、年度単位でみると、プラスを確保しており、鉱工業生産活動は堅調だったと評価されるだろう。

703-g-01

 

生産低下への影響度、寄与が特に大きいのは、汎用・生産用・業務用機械工業と電子部品・デバイス工業だった。低下寄与3位の輸送機械工業の寄与は、電子部品・デバイス工業の半分以下であり、この2業種の影響度が大きくなっている。

3月の汎用・生産用・業務用機械工業は、半導体製造装置、フラットパネル・ディスプレイ製造装置の生産低下によって、前月比マイナス6.3%低下となった。3月には、業種細分類の「半導体・フラットパネル製造装置」が汎用・生産用・業務用機械工業全体に対して前月比マイナス2.2%ポイントの低下寄与となっており、全体の低下の3分の1程となっている。

2番目に大きな低下寄与をみせた電子部品・デバイス工業は、3月に前月比マイナス4.8%低下と6カ月振りに前月比低下となったたが、前年同月比は12.3%上昇と2月に続いて前年レベルを1割以上上回っており、生産水準自体がそれ程低下してはいない。

703-g-02

今年4月の生産計画については、前月比8.9%と大幅な上昇を見込んでいるが、計画値に含まれるバイアスを補正すると、前月比5.3%程度の上昇試算結果になっている。この修正値の伸びが実現するだけでも、今年4月の指数値はリーマンショック後の最高値を更新する勢いである。

注)▲はマイナスを示す。
年間補正処理により、3月調査の数値が補正されました。
平成29年3月 平成29年4月見込み 平成29年5月見込み
平成29年4月調査(今回) 8.9 ▲3.7
平成29年3月調査(前回) ▲2.5 9.8

製造工業生産予測調査の試算値 (季節調整済前月比(%))

平成22年(2010年)=100

試算値 予測調査結果
4月前月比 5.3%
(4.3%~6.4%)
8.9%

5月の生産計画については、補正計算なしで前月比マイナス3.7%の低下を見込む計画になっているが、5月の計画低下はひとえに輸送機械工業の低下によるものでその水準自体、昨年5月実績を上回る計画になってる。

703-g-03

3月の鉱工業生産は、少し大きめの低下となったが、これは計画通りの低下で、今年の第1四半期も4四半期連続で前期比上昇を維持している。先行き見通しについても、4月には大きく回復し、5月は低下となっているが、それでも5月の生産水準は前年同月を上回る見込みである。

こうした状況を踏まえ基調判断については、「持ち直しの動き」で据え置きたい。

703-g-04

バックナンバー>>

平成29年5月1日(月)Vol.704

鉄鋼生産 前月・前年比とも微増

燃料油生産 前月比増で前年比減

経産省 3月の生産動態統計速報発表

 

経済産業省と資源エネルギー庁は4月28日、3月の生産動態統計速報を発表した。それによると粗鋼生産量は888.7万トンで前月比6.6%、前年同月比1.8%ともに増加した。また、石油製品生産量は燃料油計が1,563.7万㎘と前月比4.9%増だが、前年同月比4.2%減となった。

【3月の鉄鋼生産】

炉別生産をみると、転炉鋼が668.6万トンと前月比5.8%増、前年同月比1.9%減、電炉鋼が220.0万トンと同9.0%増、同14.9%増となり、前年同月比でみると転炉鋼は2カ月連続の減少、電炉鋼は6カ月連続の増加となった。

鋼種別生産では、普通鋼が668.3万トンと前月比4.6%増、前年同月比1.4%減、特殊鋼が220.2万トンと同12.8%増、同12.9%増となり、前年同月比では普通鋼は2カ月連続の減少、特殊鋼は11カ月連続の増加となった。

熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は795.0万トンと前月に比べ45.8万トン・6.1%増、前年同月比では0.6%増と8カ月連続の増加となった。また、1~3月累計は2,330.0万トンと前年同期比1.7%増となった。

普通鋼熱間圧延鋼材の生産は618.4万トンと前月に比べ28.7万トン・4.9%増、前年同月比では1.3%減と3カ月振りの減少となった。また、1~3月累計は1,832.5万トンと前年同期比1.0%増となった。

品種別では、条鋼類は156.4万トン、前月比5.2%増、前年同月比2.7%増で、前年同月比では6カ月連続の増加となった。鋼板類は457.9万トン、同5.0%増、同2.8%減となり、前年同月比では2カ月連続の減少となった。

主要品種の生産内訳をみると、普通鋼では鋼帯が385.9万トンと前月比6.9%増で、前年同月比0.5%の微増。冷延広幅帯鋼が170.5万トンと前月比15.0%の2桁増で、前年同月も6.0%増。鋼板が73.3万トンと前月比2.1%減で、前年同月比15.7%の2桁減。小形棒鋼が71.3万トンと前月比4.3%、前年同月比4.1%のともに増。H形鋼が32.5万トンと前月比1.0%、前年同月比1.5%のともに減となった。

特殊鋼では、熱間圧延鋼材が176.5万トンと前月比10.6%の2桁増で、前年同月比も7.8%増。冷延広幅鋼帯が25.2トンと前月比5.6%、前年同月比3.0%のとに増となった。

熱間鋼管では、普通鋼が36.7万トンと前月比2.8%、前年同月2.6%のともに増。特殊鋼が16.9トンと前月比19.8%、前年同月比29.7%のともに大幅増となった。

めっき鋼材では、亜鉛めっき鋼板が100.7万トンと前月比13.2%の2桁増で、前年同月比も8.0%増となった。

【3月の鉄鋼出荷】

出荷を品目別にみると、普通鋼の鋼帯が200.5万トンと前月比10.7%の2桁増だが、前年同月比3.9%減。鋼板が83.6万トンと前月比14.6%の2桁増だが、前年同月比10.0%の2桁減。小形棒鋼が75.6万トンと前月比14.6%増で、前年同月比も4.0%増。H形鋼が36.2万㌧で前月比16.1%の2桁増で、前年同月比も3.3%増。冷延広幅帯鋼が67.9万トンと前月比22.8%の大幅増で、前年同月比も8.5%増となった。

特殊鋼の熱間圧延鋼材は137.0万トンと前月比16.0%に2桁増で、前年同月比も4.1%増。冷延広幅帯鋼は24.7万トンと前月比6.3%、前年同月比2.2%のともに増となった。

熱間鋼管では、普通鋼が33.9万トンと前月比11.3%の2桁増だが、前年同月比1.4%減。特殊鋼が18.9万トンと前月比97.4%、前年同月比35.2%のともに大幅減となった。

めっき鋼板では、亜鉛めっき鋼板が103.1万トンと前月比16.0%増で、前年同月比も5.4%増となった。

【3月の石油生産】

生産を油種別にみると、重油が292.2万㎘と前月比7.4%増だが、前年同月比9.7%減。ガソリンが471.0万㎘で前月比10.5%の2桁増だが、前年同月比2.8%減。軽油が341.7万㎘と前月比1.1%増だが、前年同月比3.8%減。灯油が152.2万㎘と前月比17.8%、前年同月比15.8%のともに2桁減。ナフサが174.0㎘と前月比3.6%、前年同月比1.4%のともに増。ジェット燃料油が132.6万㎘と前月比31.2%の大幅増で、前年同月比も13.3%増。液化石油ガスが38.9万トンと前月比11.2%の2桁増で、前年同月比も6.3%増。アスファルトが30.8万トンと前月比8.8%増で、前年同月比13.6%の2桁増。潤滑油が21.5万㎘と前月比18.3%の2桁増だが、前年同月比2.8%減となった。

【3月の石油出荷】

出荷を油種別にみると、重油が294.3万㎘と前月比4.9%増だが、前年同月比10.9%の2桁減。ガソリンが491.4万㎘と前月比14.9%の2桁増だが、前年同月比1.3%減。軽油が369.3万㎘と前月比10.6%の2桁増だが、前年同月比5.8%減。灯油が181.4万㎘と前月比18.5%の2桁減で、前年同月比も7.0%減。ナフサが396.7万㎘と前月比7.0%、前年同月比7.5%のともに増。ジェット燃料油が132.6万㎘と前月比15.0%の2桁増で、前年同月比も7.7%増。液化石油ガスが48.5万トンと前月比5.8%増だが、前年同月比1.0%減。アスファルトが24.1万トンと前月比22.9%の大幅増で、前年同月比も7.5%増。潤滑油が23.7万㎘と前月比22.1%の大幅増だが、前年同月比3.4%減となった。

【コークス・石灰石】

3月のコークスの生産は281.9万トンと前月比11.1%の2桁増で、前年同月比0.2%の微増。出荷は69.8万トンと前月比10.7%の2桁増だが、前年同月比10.8%の2桁減となった。

2月の石灰石の生産は1,272.6万トンと前月比12.7%の2桁増だが、前年同月比0.1%の微減。出荷は999.6万トンと前月比9.5%増で、前年同月比0.7%の微増を示した。

※添付資料

鉄鋼統計速報 平成29年3月 Excel

資源エネルギー統計速報 平成29年3月 Excel

バックナンバー>>

平成29年5月1日(月)Vol.705

燃料油国内販売4カ月連続減

エネ庁 3月の石油統計速報発表

 

資源エネルギー庁は4月28日、3月の石油統計速報を発表した。概要は次の通り。

1.原油の動向

3月の原油輸入量は1,579万㎘、前年同月比90.0%と2カ月連続して前年を下回った。輸入量の多い順にみるとなっている。

(1)サウジアラビア(662万㎘、前年同月比111.9%)

(2)アラブ首長国連邦(370万㎘、同80.2%)

(3)カタール(136万㎘、同85.7%)

(4)イラン(111万㎘、同113.2%)

(5)クウェート(105万㎘、同63.5%)

なお、3月の中東依存度は90.6%、前年同月に比べ4.7ポイント増と2カ月連続して前年を上回った。

2.燃料油の生産

燃料油の生産は1,564万㎘、前年同月比95.8%と2カ月連続して前年を下回った。油種別にみると、ナフサ、ジェット燃料油及びA重油は前年同月を上回ったが、ガソリン、灯油、軽油及びB・C重油は前年同月を下回った。

3.燃料油の輸入、輸出

燃料油の輸入は259万㎘、前年同月比111.3%と2カ月連続して前年を上回った。輸出は281万㎘、同94.8%と2カ月連続して前年を下回った。

4.燃料油の国内販売

燃料油の国内販売は1,590万㎘、前年同月比96.3%と4カ月連続して前年を下回った。油種別にみると、ナフサ、ジェット燃料油及び灯油は前年同月を上回ったが、ガソリン、軽油、A重油及びB・C重油は前年同月を下回った。

5.燃料油の在庫

燃料油の在庫は848万㎘、前年同月比96.8%と20カ月連続して前年を下回った。油種別にみると、ガソリン、軽油及びA重油は前年同月を上回ったが、ナフサ、ジェット燃料、灯油及びB・C重油は前年同月を下回った。

※添付資料

石油需給概要 平成29年3月 Excel

石油需給概要 平成28年度 Excel