平成29年7月4日(火)Vol.709
生産、出荷とも前月比減
経産省 5月の鉱工業・生産出荷・在庫速報発表
経済産業省は6月30日、5月の鉱工業生産・出荷・在庫速報を発表した。5月は生産が2カ月振りに前月比マイナス3.3%の低下、出荷も前月比マイナス2.8%低下だったが、在庫率は改善した。ただ、6月の生産計画は上昇見込みで、均せば生産水準の大きな低下は回避できそうだが、6月の生産水準が4月に及ぶことはなさそうだ。経産省ではこれらから基調判断を「持ち直しの動き」で据え置きとした。
5月の「生産」は、季節調整済指数100.4、前月比マイナス3.3%低下となった。前年同月比は6.8%上昇で、7カ月連続で前年同月比上昇が続いている。
4月、5月の生産指数の平均の指数値は、102.1となり、今年第1四半期の指数値100.0を上回っている。6月の生産が大幅減産、マイナス5%近い減産にならない限り、第2四半期も前期比上昇を維持し、5四半期連続の前期比上昇となる見込みだ。
5月の鉱工業出荷は、指数値98.3、前月比マイナス2.8%の低下となった。5月自体の出荷のレベルは、昨年第4四半期や今年の第1四半期よりも若干低めとなっている。ただ、4月の出荷水準が高かったこともあり、4月と5月の出荷指数の平均は99.7とまだ高い水準を維持している。6月出荷に大きめの低下がない限り、第2四半期の鉱工業出荷が2期連続の前期比低下は避けられるという計算になる。
5月の鉱工業生産は、前月比マイナス3.3%と大幅低下だったが、調査対象15業種のうち14業種が前月比低下となった。
この低下14業種のうち、8業種が4月の上昇からの反転低下業種だったが、ほぼ全ての業種が低下業種だったこともあり、繊維工業のように3カ月振り、プラスチック工業、非鉄金属工業、窯業・土石製品工業のように4カ月振りに生産を低下させる業種も出てきており、5月は全業種的に生産が低下しているようだ。
短期予測をみると6月の生産計画を前月比2.8%と上昇見込んでおり、7月の生産計画は、6月計画からマイナス0.1%低下するという結果だった。今年に入って、鉱工業生産の前月比の方向が入れ替わる状態で、5月の生産低下から、6月は生産上昇の見込みとなっていが、7月の低下見込みはそれ程大きなものとはなっていないようだ。
また6月、7月の生産計画は昨年同月の生産実績を共に10%前後上回る計画となっており、生産水準自体は維持されているが、それでも4月の実績には戻らない計画となっている。
企業の生産予測に含まれる規則的誤差を修正すると、6月の生産は前月比1.7%の上昇になると試算されている。
平成29年5月 | 平成29年6月見込み | 平成29年7月見込み | |
平成29年6月調査(今回) | 2.8% | ▲0.1% | |
平成28年5月調査(前回) | ▲2.5% | 1.8% |
製造工業生産予測調査の試算値 (季節調整済前月比(%))
平成22年(2010年)=100
試算値 | 予測調査結果 | |
5月前月比 | 1.7% (0.7%~2.7%) |
2.8% |
5月の鉱工業生産は大きな低下を見せ、出荷も前月比低下となっているが、生産の抑制が効いていることから、在庫は横ばいに近い微増となっており、在庫率は改善している。在庫循環も「在庫積み増し局面」で大きな変化はなかった。
また、生産の先行き計画について「6月上昇、7月微減」が計画されているが、補正計算の伸び幅であれば、6月の生産水準は4月の水準には戻らない可能性が高いと思われる。こうした状況を踏まえ、経産省では基調判断については、「持ち直しの動き」で据え置きたいとしている。
平成29年7月4日(火)Vol.710
燃料油国内販売6ヵ月振り前月比増
経産省 5月の石油統計速報発表
原油の動向
5月の原油輸入量は1,371万㎘で、前年同月比83.7%と前年を下回った。輸入量の多い順にみると、
(1)サウジアラビア(554万㎘、前年同月比99.7%)
(2)アラブ首長国連邦(306万㎘、同71.8%)
(3)クウェート(110万㎘、同110.2%)
(4)ロシア(94万㎘、同108.7%)
(5)カタール(92万㎘、同58.8%)となっている。
なお、今月の中東依存度は83.3%、前年同月に比べ4.3ポイント減と2カ月連続で前年を下回った。
2.燃料油の生産
5月の燃料油の生産は1,338万㎘で、前年同月比93.1%と4カ月連続して前年を下回った。油種別にみると、軽油は前年同月を上回ったが、ガソリン、ナフサ、ジェット燃料、灯油、A重油及びB・C重油は前年同月を下回った。
3.燃料油の輸入、輸出
5月の燃料油の輸入は288万㎘、前年同月比118.4%と4カ月連続して前年を上回った。輸出は250万㎘、同87.0%と4カ月連続して前年を下回った。
4.燃料油の国内販売
5月の燃料油の国内販売は1,325万㎘、前年同月比100.7%と6カ月振りに前年を上回った。油種別にみると、ナフサ及び軽油は前年同月を上回ったが、ガソリン、ジェット燃料、灯油、A重油及びB・C重油は前年同月を下回った。
5.燃料油の在庫
5月の燃料油の在庫は948万㎘、前年同月比96.2%と22カ月連続して前年を下回った。油種別にみると、ガソリン、ジェット燃料、A重油及びB・C重油は前年同月を上回ったが、ナフサ、灯油、軽油は前年同月を下回った。
※添付資料
石油需給概要 平成29年5月 Excel
平成29年7月4日(火)Vol.711
粗鋼生産 前月増で前年比微減
燃料油生産 前月比・前年比減
経産省 5月の生産動態統計速報発表
経済産業省と資源エネルギー庁は6月30日、5月の生産動態統計速報を発表した。それによると粗鋼生産量は892.9万トンで前月比2.0%増加となったが、前年同月比3.0%が0.1%の微減となった。また、石油製品生産量は燃料油計が1,338.5万㎘で前月比2.7%、前年同月比6.9%のともに減少となった。
【5月の鉄鋼生産】
5月の鉄鋼生産は銑鉄、熱間圧延鋼材は、前月比では増加したが、前年同月比では減少した。粗鋼は前月比、前年同月比とも増加した。
銑鉄生産は670.0万トンと前月に比べ2.9%増、前年同月比2.1%減と4カ月連続の減少となった。
炉別生産をみると、転炉鋼が676.3万トンと前月比2.1%増だか、前年同月比2.2%減。電炉鋼が218.9万トンと前月比2.7%、前年同月比8.0%のともに増。前年同月比でみると転炉鋼は2カ月振りの減少、電炉鋼は8カ月連続の増加となった。
鋼種別生産では、普通鋼が674.1万トンと前月比0.3%増だが、前年同月比1.8%減。特殊鋼が221.1万トンと同月比8.5%、前年同月比6.5%増となり、前年同月比では普通鋼は2カ月振りの減少、特殊鋼は13カ月連続の増加となった。
普通鋼、特殊鋼の合計による熱間圧延鋼材生産は、777.3万トンと前月比べ1.2%増だが、前年同月比で1.4%減と10カ月振りの減少となった。
普通鋼熱間圧延鋼材の生産は608.2万トンと前月比2.3%増だが、前年同月比で2.1%減と3カ月連続の減少となった。
また、条鋼類は154.9万トンと前月比0.8%増だが、前年同月比2.1%減で前年同月比8カ月振りの減少となった。鋼板類は448.3万トンで前月比2.7%増だが、前年同月比2.4%減となり、前年同月比では4カ月連続の減少となった。
主要品種の生産内訳をみると、普通鋼では鋼帯が373.4万トンと前月比2.8%増だが、前年同月比1.3%減。冷延広幅帯鋼が159.7万トンと前月比2.5%、前年同月4.4%のともに増。鋼板が76.4万トンと前月比3.9%増だが、前年同月比5.8%減。小形棒鋼が70.3万トンと前月比4.7%、前年同月比5.4%のともに減。H形鋼が33.7万トンと前月比8.3%増で、前年同月比0.2%の微増となった。
特殊鋼では、熱間圧延鋼材が170.6万トンと前月比1.6%減だが、前年同月比2.2%増。冷延広幅鋼帯が25.8トンと前月比10.4%、前年同月比13.7%のともに2桁増となった。
熱間鋼管では、普通鋼が34.9万トンと前月比0.6%の微減だが、前年同月比8.8%増。特殊鋼が16.8トンと前月比4.9%増で、前年同月比19.8%の大幅増となった。
めっき鋼材では、亜鉛めっき鋼板が91.6万トンと前月比1.0%、前年同月比6.5%のともに増となった。
【5月の鉄鋼出荷】
5月の主要品種の出荷を品目別にみると、普通鋼の鋼帯が167.6万トンと前月比5.9%減で、前年同月比17.3%の2桁減。鋼板が73.9万トンと前月比4.5%増だが、前年同月比10.1%の2桁減。小形棒鋼が66.8万トンと前月比3.4%、前年同月比5.3%のともに減。H形鋼が32.2万㌧で前月比5.6%、前年同月比3.2%のともに増。冷延広幅帯鋼が59.0万トンと前月比5.2%、前年同月比5.5%のともに増となった。
特殊鋼の熱間圧延鋼材は125.4万トンと前月比2.5%、前年同月比4.0%のともに増。冷延広幅帯鋼は23.4万トンと前月比12.6%、前年同月比15.4%のともに2桁増となった。
熱間鋼管では、普通鋼が29.4万トンと前月比2.3%、前年同月比4.9%のともに増。特殊鋼が15.0万トンと前月比54.8%、前年同月比22.8%のともに大幅増となった。
めっき鋼板では、亜鉛めっき鋼板が90.9万トンと前月比6.4%、前年同月比8.7%のともに増となった。
【5月の石油生産】
5月の石油製品の生産を油種別にみると、重油が212.5万㎘と前月比13.7%、前年同月比12.3%のともに2桁減。ガソリンが440.1万㎘で前月比4.0%増だが、前年同月比2.5%減。軽油が326.1万㎘と前月比1.7%減だが、前年同月比0.3%の微増。灯油が86.3万㎘と前月比26.3%の大幅減で、前年同月比も17.7%の2桁減。ナフサが1371.8㎘と前月比1.1%減で、前年同月比19.8%の2桁減。ジェット燃料油が141.6万㎘と前月比14.1%の2桁増だが、前年同月比5.1%減。液化石油ガスが40.2万トンと前月比2.6%、前年同月比4.1%のともに増。アスファルトが22.2万トンと前月比5.6%減で、前年同月比も16.5%の2桁減。潤滑油が14.9万㎘と前月比17.8%の2桁減で、前年同月比も32.5%の大幅減となった。
【5月の石油出荷】
5月の石油製品の出荷を油種別にみると、重油が219.6万㎘と前月比14.0%、前年同月比12.9%のともに2桁減。ガソリンが439.1万㎘と前月比3.2%増だが、前年同月比4.0%減。軽油が342.0万㎘と前月比5.5%、前年同月比2.5%のともに増。灯油が81.0万㎘と前月比21.7%の大幅減で、前年同月比も14.2%の2桁減。ナフサが362.2万㎘と前月比2.0%、前年同月比5.8%のともに増。ジェット燃料油が133.6万㎘と前月比15.0%の2桁増だが、前年同月比12.6%の2桁減。液化石油ガスが47.9万トンと前月比1.0%減だが、前年同月比7.0%増。アスファルトが13.9万トンと前月比18.2%、前年同月比14.8%のともに2桁減。潤滑油が18.1万㎘と前月比7.3%減で、前年同月比21.9%の大幅減となった。
【5月のコークス・石灰石】
5月のコークスの生産は285.2万トンと前月比5.3%増で、前年同月比0.4%の微増。出荷は65.5万トンと前月比9.0%、前年同月比4.8%のともに減となった。
5月の石灰石の生産は1,167.3万トンと前月比9.4%、前年同月比6.9%のともに増。出荷は923.6万トンと前月比3.2%、前年同月比4.1%のともに増を示した。
※添付資料
鉄鋼統計速報 平成29年5月 Excel
資源エネルギー統計速報 平成29年5月 Excel
平成29年7月4日(火)Vol.712
エネ庁 第2回メタンハイド
レート海洋産出試験を終了
資源エネルギー庁は、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)へ委託し、本年4月から渥美半島~志摩半島の沖合・第二渥美海丘で、地球深部探査船『ちきゅう』により、メタンハイドレートを分解し天然ガスを取り出すガス生産試験を実施して来たが、予定の期日が到来したためこのほど、試験を終了した。
メタンハイドレートは、メタンと水が低温・高圧の状態で結晶化した物質で、我が国周辺海域で相当の量の存在が見込まれていることから、将来の国産天然ガス資源として期待されている。
第2回メタンハイドレート海洋産出試験は、第1回試験で生じた出砂トラブル等の解決や3~4週間のガス生産で生産レートの増加を確認することが目的だった。今回の試験の結果、2本の生産坑井のうち1本目では出砂トラブルが発生したが、2本目では出砂トラブルが発生せず、一定の成果が得られたが、いずれの生産坑井でも生産レートの増加を明確に確認できておらず、生産技術を確立する上で課題を残す結果となった。今回の試験によるガスの生産量(暫定値)は、1本目の生産坑井が12日間で合計約3.5万㎥、2本目の生産坑井が24日間で合計約20万㎥となっている。
今回の試験結果及びその原因について、今後、外部有識者を交えて徹底的な検証を行い、今後の商業化に向けた開発ロードマップの最終案を策定し、次期海洋基本計画へ反映させる予定となっている。
平成29年7月4日(火)Vol.713
「強い物流」実現に向けて
経産省が総合物流施策大綱有識者検討会提言
経済産業省は6月27日、「総合物流施策大綱に関する有識者検討会」提言~「強い物流」の実現に向けて~をとりまとめた。
現在の総合物流施策大綱は、我が国の物流をめぐる環境が人口減少・少子高齢化に伴う労働力不足の顕在化、国際競争の激化、情報通信技術(ICT)等の技術革新等様々な変化が生じていることから、新たに次期総合物流施策大綱の策定が平成25年6月に閣議決定され、今年その目標年次を迎えていたもの。このため、次期総合物流施策大綱策定に向けて、物流を取り巻く諸課題への対応の方向について検討を行い、今後の物流施策の在り方について提言を得ることを目的として、今年2月から「総合物流施策大綱に関する有識者検討会」が開催され、6月の第7回検討会で「提言」がまとめられた。
提言では、物流が産業競争力や国民生活を支える「社会インフラ」として途切れることなく役割を果たすため、「強い物流」を実現する必要があるとされており、以下の6つの視点から取組の方向性が示されている。
1. サプライチェーン全体の効率化・価値創造に資するとともにそれ自体が高い付加価値を生み出す物流への変革(=繋がる)
2. 物流の透明化・効率化とそれを通じた働き方改革の実現(=見える)
3. ストック効果発現等のインフラの機能強化による効率的な物流の実現(=支える)
4. 災害等のリスク・地球環境問題に対応するサステイナブルな物流の構築(=備える)
5. 新技術(IoT、BD、AI等)の活用による“物流革命”(=革命的に変化する)
6. 人材の確保・育成、物流への理解を深めるための国民への啓発活動等(=育てる)
この提言の中では内航海運について、大要次のような点を指摘している。
◇国内貨物輸送、とりわけ産業基礎物資輸送において重要な役割を担う、我が国の国民生活や経済活動を支える基幹的輸送インフラであり、モーダルシフトの受け皿としても重要な役割を担っている。一方で、長期的に輸送需要は低下傾向にあるところ、99.6%が経営基盤の脆弱な中小企業であり、また、寡占化された荷主企業への専属化・系列化が固定化している業界構造にあるため、自らの努力のみでは輸送需要を増加させることが難しい状況にある。さらに、船齢が法定耐用年数(14年)以上の船舶が全体の7割を占め、50歳以上の船員の割合が5割を超えるという船舶と船員の「2つの高齢化」などが構造的課題となっている。
◇内航海運の安定的輸送の確保と生産性向上のため、①内航海運事業者の事業基盤の強化(船舶管理会社の活用促進による管理業務の集約化・効率化を図るための国土交通大臣による登録制度の創設や荷主・海運事業者間の連携強化のための協議会の設置)②先進的な船舶等の開発・普及(省力化や安全性向上に資する自動運航船等のIoT技術を活用した船舶の開発・普及、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の船舶共有建造制度の活用を通じた円滑な代替建造の促進等)船員の安定的・効果的な確保・育成(船員教育体制の抜本的改革や、労働環境の優れた職場のPR等の魅力ある職場作り等による船員の就業・定着促進、船員配乗のあり方の検討等の働き方改革)を図る必要がある。
◇モントリオール議定書において冷蔵・冷凍倉庫等で使用される冷媒であるHCFCの生産・輸入が原則2020年に全廃、HFCについても2036年まで段階的に85%を削減することとなっているため、温室効果の低い自然冷媒への更新が急務となっている。国際約束を遵守しつつ、我が国経済の成長を持続させるためにはその基盤となる物流が環境面においても持続可能である必要があり、地球温暖化対策を着実に進めることが重要である。このため、引き続き、自動車、船舶等の省エネ性能の向上、運行・運航の効率化を進めるとともに、トラックに比べ単位輸送当たりの二酸化炭素排出量が少ない鉄道や船舶へのモーダルシフトを図ることが重要である。国際海運分野のCO₂排出量については、今後大きく増大することが見込まれているが、国際海事機関(IMO)における温室効果ガス削減戦略の策定や燃費規制の段階的強化等の温暖化対策に関する議論を我が国が主導することが重要である。 また、船舶の燃料油に含まれる硫黄分濃度規制については、2020年から世界一律で強化される予定となっており、当該規制に円滑に対応できるよう取り組むことが必要である。さらに、排気ガスのクリーンな代替燃料であるLNGの供給・利用に関しては、我が国が世界最大のLNG輸入国であるという強みをいかしてLNGバンカリング(船舶への燃料供給)拠点の整備を進めるとともに、LNG燃料船の普及に向けた取組を実施する必要がある。
◇今後は物流事業者のみならず、消費者、荷主、地方自治体、国等も含め幅広い関係者の間において、物流の機能、特性、制約等に関する理解が進み、連携して取組を行っていくことにより、これからの物流に対する新しいニーズに応え、我が国の経済成長と国民生活を持続的に支える強い物流を構築していく必要がある。荷主と物流事業者の間のパートナーシップの更なる強化等を図ることによって、モーダルシフトや共同物流を促進し、さらなる環境負荷の低減を目指す。物流分野について、物流総合効率化法の枠組みを活用して、関係者が連携して行う、モーダルシフトや共同物流といった環境負荷の低減に資する取組みの促進を図る。加えて海運分野においては、荷主・物流事業者と海運業者の連携強化のための協議会を新たに設置し、具体的な取組を推進するとともに、先進的なモーダルシフトの取組等に対する新たな表彰制度を創設し、優良事例を全国に共有・展開する。さらに、荷主等におけるモーダルシフトの検討を容易にするため、モーダルシフトに資するフェリー、RORO船等の運航情報を一括して荷主等が利用できるシステムを構築する。
◇内航海運における省エネ対策を推進するため、荷主との連携を考慮しつつ、省エネ船の普及に向けた取組を支援する。また、内航海運事業者の省エネ評価制度の構築・普及を推進することにより、省エネ船への積極的な投資を促す。
また、外航海運における二酸化炭素排出削減対策として、IMO温室効果ガス削減戦略の策定や燃費規制の段階的強化等、国際海運分野の温暖化対策に係わる議論を我が国が主導する。
◇2020年から強化される船舶燃料の硫黄分濃度規制について、NOxやCO₂削減にも有効な代替燃料であるLNG燃料の供給に関し、世界最大のLNG輸入国という強みをいかし、我が国港湾においてLNGバンカリング拠点の整備を進めるとともに、LNG燃料船の普及に向けた取組を実施する。さらに、低硫黄燃料油の低廉化・供給コスト削減に向けた具体的対応策等を検討し、関係業界が円滑に対応できるよう、適切な取組を実施する。
◇IoT技術やビッグデータを活用することにより、①陸上からリアルタイムでの船舶の機器監視や不具合発生時の迅速なサポートの実施、②天候等の予測情報を活用した効率的なルートや航行速度の設定、③船舶が輻輳する航路における交通管制等により、効率的な船舶の航行を可能とする。また、自動運航船を社会に取り入れるため、研究開発や基準・ルールの整備などによる海上交通の高度化を進めるための取組を行う。
◇内航船員については、安定的な海上輸送確保のため、引き続き若年の優秀な船員の確保・育成策に取り組み、その主要な供給源である独立行政法人海技教育機構において、関係教育機関や関係団体等との連携のもと、質が高く、事業者ニーズにマッチした船員の養成に取り組み、教育内容の高度化を図る。併せて、船内居住環境・労働環境の向上を通じた若年船員の雇用促進による年齢構造の改善や働き方改革による生産性の向上のための取組等を行う。
※添付資料
総合物流施策大綱に対する提言(概要) PDF
総合物流施策対抗に対する提言(全文) PDF