平成29年12月4日(月)Vol.723
鉱工業生産 12カ月連続前年比増
経産省 10月の鉱工業生産・出荷・在庫速報発表
経済産業省は11月30日、10月の鉱工業生産・出荷・在庫速報を発表した。それによると、10月の鉱工業生産は季節調整済指数103.0、前月比0.5%上昇と2カ月振りの上昇となった。前年同月比は5.9%上昇で、12カ月連続で前年同月比上昇が続いている。10月の鉱工業生産は前月比0.5%上昇したものの、10月の生産計画から実績は大きく下方修正となった。11月の計画は横這いから微減で、12月はそこから上昇の生産計画だ。機械工業が向こう2カ月牽引役となっている。
また、10月の生産は上昇したが、出荷は2カ月連続低下した。上昇寄与が大きいのは、電気、輸送、汎用・生産用・業務用機械といった機械工業だった。10月の財別出荷では、生産財の低下が目立つが、資本財は好調11月、12月の生産計画は2カ月連続増産計画で、補正すると11月は微減 基調判断は据え置き「生産は持ち直しの動き」にある。
10月の生産は上昇、出荷は2カ月連続の低下
今年7〜9月期、第3四半期の指数値は102.5だったので、今年の第4四半期のスタートは僅かながら前期よりも高い水準から始まることになった。
とはいえ、10月初旬段階の生産計画の調査結果では、10月は前月比4.7%の上昇が見込まれるという結果だったが、汎用・生産用・業務用機械工業や電気機械工業などの生産計画が大きく下方修正され、生産は想定外に小さい伸びに留まっている。
10月の鉱工業出荷は指数値98.8、前月比マイナス0.5%と2カ月連続の前月比低下となった。7〜9月期の指数値100.4と比べれば、今年の第4四半期の出荷は低い水準で始まることになった。
昨年後半の比較的堅調な出荷の推移とは変わって、今年に入って前月比の方向が毎月入れ替わる状態となりつつも、低下幅より大きく上昇することが繰り返され、今年8月は前年水準を大きく上回る水準となっていた。しかし、その後は9月、10月と2カ月連続の低下となり、指数水準的には昨年の10〜12月期のレベルになっている。
上昇寄与大きい電気、輸送、汎用・生産用・業務用機械
10月の鉱工業生産は、前月比0.5%と2カ月振りの上昇だったが、15業種のうち8業種が前月比上昇、6業種が前月比低下、窯業・土石製品工業は横ばいとなった。生産上昇業種のうち、10月の生産上昇への影響度、寄与が大きいのは電気機械工業、輸送機械工業、汎用・生産用・業務用機械工業だった。これらの主要機械工業が薄く広く生産を上昇させた結果、前月比上昇となっている。
財別出荷で生産財の低下目立つが資本財好調
10月の鉱工業出荷は、前月比マイナス0.5%と2カ月連続の低下だったが、財の需要先の用途別分類である財別分類出荷指数をみると、この低下は生産財の出荷の低下寄与によるものであることがわかる。生産財の出荷は前月比マイナス1.1%低下で、主に液晶素子や軽油の出荷の低下によるもの。また、耐久、非耐久両方の消費財の出荷が低下している。
一方、設備投資に利用される資本財(輸送機械を除く)の出荷は前月比1.6%上昇、建設資材や構築物自体である建設財の出荷は0.7%上昇と、投資向けの財の出荷は良好だった。
消費財と投資財の出荷が、好対照の結果となっている。
11月、12月の生産は2カ月連続増産計画
11月上旬に実施した11月、12月の生産計画予測調査の結果では、11月の生産計画は前月比2.8%と大きな上昇を見込む結果になっている。12月の生産計画は、これからさらに前月比3.5%上昇するという結果だった。
しかし、11月の伸びは10月の生産実績が計画から大きく下方修正されたため、大きく見えている部分があり、その分を割り引く必要がある。
また、11月の見込み値に含まれる上方バイアスを補正すると、前月比マイナス0.1%程度の低下となるという計算結果だ。
ただし、12月の生産計画は、今年の「翌月見込み」としては最も高いものとなっており、その点は評価できる。
製造工業生産予測指数 (季節調整済前月比(%))
平成29年11月見込み | 平成29年12月見込み | |
平成29年11月調査(今回) | 2.8% | 3.5% |
平成28年10月調査(前回) | ▲0.9% |
製造工業生産予測指数の補正値 (季節調整済前月比(%))
試算値 | 予測調査結果 | |
11月前月比 | ▲0.1% (▲1.1%~0.9%) |
2.8% |
基調判断は据え置き「生産は持ち直しの動き」
10月の鉱工業生産は前月比0.5%上昇だった。出荷は2カ月連続の前月比低下、在庫水準も今年4月、5月のレベルに戻っている。11月の生産計画は、補正計算をすると微減程度になる見込みだが、12月は11月の生産計画から、さらに増産される見込みとなっている。
こうした状況を踏まえ経産省では、「基調判断については、『生産は持ち直しの動き』で据え置きたい」としている。
平成29年12月4日(月)Vol.724
燃料油販売3カ月連続前年比減
エネ庁 10月の石油統計速報発表
資源エネルギー庁は11月30日、10月の石油統計速報を発表した。概要は次の通り。
1.原油の動向
10月の原油輸入量は1,443万㎘、前年同月比95.8%と3カ月連続で前年を下回った。輸入量の多い順にみると次の通りだった。
(1)サウジアラビア(573万㎘、前年同月比92.1%)
(2)アラブ首長国連邦(385万㎘、同113.5%)
(3)カタール(113万㎘、同105.0%)
(4)クウェート(88万㎘、同83.6%)
(5)イラン(82万㎘、同82.0%)となっている。
なお、今月の中東依存度は87.7%、前年同月に比べ0.7ポイント増と3カ月連続で前年を上回った。
2.燃料油の生産
燃料油の生産は1,339万㎘、前年同月比95.7%と3カ月連続で前年を下回った。油種別にみるとガソリン、灯油及び軽油は前年同月を上回ったが、ナフサ、ジェット燃料油、A重油及びB・C重油は前年同月を下回った。
3.燃料油の輸入、輸出
燃料油の輸入は273万㎘、前年同月比127.2%と3カ月連続で前年を上回った。輸出は194万㎘、前年同月比81.9%と4カ月振りに前年を下回った。
4.燃料油の国内販売
燃料油の国内販売は1,389万㎘、前年同月比97.8%と前年を下回った。油種別にみると、ナフサ及び灯油は前年同月を上回ったが、ガソリン、ジェット燃料油、軽油、A重油及びB・C重油は前年同月を下回った。
5.燃料油の在庫
燃料油の在庫は1,032万㎘、前年同月比100.0%(微増)と3カ月振りに前年を上回った。油種別にみると、ガソリン、ジェット燃料油、灯油、軽油及びB・C重油は前年同月を上回ったが、ナフサ及びA重油は前年同月を下回った。
※添付資料
石油需給概要 平成29年10月 Excel
平成29年12月4日(月)Vol.725
粗鋼生産 前年比減に転じる
燃料油生産 前年比9カ月連続減
経産省 10月の生産動態統計速報発表
経済産業省は11月30日、10月の生産動態統計速報を発表した。それによると粗鋼生産量は897.1万トンで前月比4.0%増だが、前年同月比1.0%減となった。前年同月比では前月の増から減に転じた。また、石油製品生産量は燃料油計が1,339.0万㎘で前月比7.3%、前年同月比4.3%のともに減となった。前年同月比では2月以来9カ月連続減となっている。
【10月の鉄鋼生産】
10月の鉄鋼生産は、銑鉄、粗鋼、熱間圧延鋼材とも前月比では増加したが、前年同月比では減少した。
銑鉄生産は657.1万トンと前月に比べ3.1%増だが、前年同月比3.1%減となり、前年同月比では9カ月連続の減少となった。1~10月計では6,532.7万トンで前年同期比2.8%減少となった。
粗鋼生産は前月比4.0%増だが、前年同月比1.0%減となり、前年同月比では2カ月振りの減少となった。10月の1日当たり粗鋼生産は28.94万トンで、9月の28.75万トン比0.6%増となった。1~10月計では8,723.9万トンで前年同期比0.2%減となった。
10月の炉別生産をみると、転炉鋼が669.6万トンと前月比3.6%増だが、前年同月比3.5%減。電炉鋼が227.5万トンと前月比5.3%、前年同月比7.2%ともに増。前年同月比でみると転炉鋼は6カ月連続の減少、電炉鋼は13カ月連続の増加となった。
10月の鋼種別生産では、普通鋼が687.0万トンと前月比5.5%増だが、前年同月比0.3%減。特殊鋼が210.1万トンと前月比0.7%、前年同月比3.2%のともに減となり、前年同月比では普通鋼は2カ月振りの減少、特殊鋼は18カ月振りの減少となった。
熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は789.3万トンと前月比1.1%増だが、前年同月比1.7%減となり、前年同月比では2カ月振りの減少となった。1~10月計では7,720.1万トンで前年同期比横ばいとなった。
普通鋼熱間圧延鋼材の生産は609.0万トンと前月比0.2%増だが、前年同月比3.2%減となり、前年同月比では2カ月振りの減少となった。1~10月計では6,022.2万トンで前年同期比1.4%減となった。
10月の品種別では、条鋼類は164.6万トンで前月比5.4%、前年同月比3.9%ともに増となり、前年同月比では2カ月連続の増加となった。鋼板類は440.3万トン同月比1.8%減、前年同月比5.2%減となり、前年同月比では2カ月振りの減少となった。
主要品種の生産内訳をみると、普通鋼では鋼帯が357.3万トンと前月比2.7%、前年同月比4.3%のともに減。冷延広幅帯鋼が152.7万トンと前月比6.2%、前年同月比3.4%のともに減。鋼板が85.8万トンと前月比5.7%増だが、前年同月比6.1%減。小形棒鋼が77.9万トンと前月比7.8%、前年同月比5.8%のともに増。H形鋼が34.3万トンと前月比0.3%の微増で、前年同月比0.0%の横這いとなった。
特殊鋼では、熱間圧延鋼材が173.3万トンと前月比0.3%の微増だが、前年同月比0.1%の微減。冷延広幅鋼帯が26.0トンと前月比2.9%増で、前年同月比16.8%の2桁増となった。
熱間鋼管では、普通鋼が38.8万トンと前月比3.2%、前年同月比5.1%のともに増。特殊鋼が16.0トンと前月比11.9%の2桁増だが、前年同月比9.8%減となった。
めっき鋼材では、亜鉛めっき鋼板が91.4万トンと前月比4.9%、前年同月比1.0%のともに減となった。
【10月の鉄鋼出荷】
9月の主要品種の出荷を品目別にみると、普通鋼の鋼帯が150.7万トンと前月比15.9%、前年同月比19.1%のともに2桁減。鋼板が78.5万トンと前月比4.2%減で、前年同月比14.7%の2桁減。小形棒鋼が75.5万トンと前月比4.5%、前年同月比5.5%のともに増。H形鋼が32.7万㌧と前月比2.8%、前年同月比2.7%のともに減。冷延広幅帯鋼が51.0万トンと前月比14.1%、前年同月比18.2%のともに2桁減となった。
特殊鋼では熱間圧延鋼材が124.2万トンと前月比5.2%、前年同月比2.1%のともに減。冷延広幅帯鋼が21.2万トンと前月比10.9%の2桁減で、前年同月比も6.7%減となった。
熱間鋼管では普通鋼が31.7万トンと前月比4.4%、前年同月比2.4%のともに減。特殊鋼が9.9万トンと前月比17.3%の2桁減で、前年同月比42.3%の大幅減となった。
めっき鋼板では、亜鉛めっき鋼板が81.8万トンと前月比13.1%、前年同月比13.0%のともに減となった。
【10月の石油生産】
9月の石油製品の生産を油種別にみると、重油が2,130万㎘と前月比9.0%減で、前年同月比16.9%の2桁減。ガソリンが426.5万㎘で前月比2.2%減だが、前年同月比0.1%の微増。軽油が320.9万㎘と前月比11.0%の2桁減で、前年同月比1.7%の減。東北・北海道地域で需要期入りした灯油が124.4万㎘と前月比26.7%の大幅増で、前年同月比も13.8%の2桁増。ナフサが133.7万㎘と前月比21.0%の大幅減で、前年同月比も18.3%の2桁減。ジェット燃料油が120.6万㎘と前月比18.0%の大幅減で、前年同月比5.7%減。液化石油ガスが28.8万トンと前月比28.7%の大幅減だが、前年同月比8.7%増。アスファルトが21.2万トンと前月比25.2%の大幅減だが、前年同月比8.7%増。潤滑油が21.0万㎘と前月比23.6%の大幅増で、前年同月比18.4%の2桁増となった。
【10月の石油出荷】
10月の石油製品の出荷を油種別にみると、重油が209.9万㎘と前月比14.0%の2桁減で、前年同月比20.5%の大幅減。ガソリンが438.0万㎘と前月比1.4%、前年同月比3.4%のともに減。軽油が316.8万㎘と前月比17.6%の2桁減で、前年同月比8.3%減。灯油が128.1万㎘と前月比38.6%の大幅増で、前年同月比0.8%の微増。ナフサが358.9万㎘と前月比3.4%減だが、前年同月比3.4%増。ジェット燃料油が1,158㎘と前月比19.2%、前年同月比19.8%のともに2桁減。液化石油ガスが38.3万トンと前月比19.7%の2桁減だが、前年同月比0.6%の微増。アスファルトが18.0万トンと前月比5.3%減だが、前年同月比0.1%の微増。潤滑油が21.2万㎘と前月比18.0%の2桁増で、前年同月比8.5%増となった。
【10月のコークス・石灰石】
10月のコークスの生産は269.4万トンと前月比1.9%増だが、前年同月比4.6%
減。出荷は72.8万トンと前月比9.5%減だが、前年同月比6.1%増となった。
10月の石灰石の生産は1,213.5万トンと前月比3.3%増だが、前年同月比0.5%の微減。出荷は977.8万トンと前月比3.7%増だが、前年同月比0.7%の微減を示した。
※添付資料
鉄鋼統計速報 平成29年10月 Excel
資源エネルギー統計速報 平成29年10月 Excel