No.738: 生産 4カ月振り前月比減 経産省 5月の鉱工業・生産出荷・在庫速報発表
No.739: 販売 6カ月連続前年割れ エネ庁 5月の石油統計速報発表
No.740: 粗鋼生産 前年比増に転じる 燃料油生産 前年比5カ月連続減 経産省 5月の生産動態統計速報発表

平成30年7月9日(月)Vol.738

生産 4カ月振り前月比減

経産省 5月の鉱工業・生産出荷・在庫速報発表

 

経済産業省は6月29日、5月の鉱工業生産・出荷・在庫速報を発表した。経産省では5月の特長を①生産が前月比マイナス0.2%と4カ月振りに低下 ②鉱工業出荷も4カ月振りの前月比低下 ③在庫は再び上昇として、基調判断は「生産が緩やかな持ち直し」と据え置いた。

生産が4カ月振り低下

5月の鉱工業生産は季節調整済指数104.4、前月比マイナス0.2%低下と4カ月振りの前月比低下となった。1月の大きな低下から、2月以降の3カ月連続で生産上昇となったが、5月は少し落ち着いた動きとなった。

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4月と5月の生産指数の平均値は104.5となるが、これは本年第1四半期の102.5を上回っている。このため計算上は6月の生産指数が相当大きく低下しない限り、第2四半期は前期比プラスを維持できそうだ。本年第1四半期は8四半期振りの前期比低下となったが、そのままズルズルと鉱工業生産が低下して行くということは避けられそうな様相だ。

5月の生産が低下した業種は輸送機械工業、鉄鋼業、電気機械工業等で、上昇業種は電子部品・デバイス工業、汎用・生産用・業務用機械工業、情報通信機械工業等だった

出荷も4カ月振り低下

5月の鉱工業出荷は指数値101.4、前月比マイナス1.6%と4カ月振りの前月比低下となった。低下幅マイナス1.6%は、4月の上昇幅1.6%と同じであるため、5月の出荷は3月の水準に戻っている。しかし、4月と5月の出荷指数の平均値は102.3なので、第1四半期の100.2を大きく上回っており、第2四半期の鉱工業出荷も前期比プラスになれそうだ。

5月の出荷が低下した業種は輸送機械工業、汎用・生産用・業務用機械工業、鉄鋼業等で、上昇業種はプラスチック製品工業、化学工業(医薬品除く)、石油・石炭製品工業等だった。

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在庫が再び上昇

5月の鉱工業在庫は指数値113.5、前月比0.6%と2カ月振りの前月比上昇となった。4月には在庫の積み上がりが止まったが、再び上昇することとなり、4月の在庫低下分だけ5月に在庫が上昇し、結局は5月の在庫水準が比較的高い水準の3月並みに戻った。これで前年同月水準を上回る状態が8カ月続いており、なかなか在庫積み上がりの解消とは行かない。

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今年第1四半期の在庫循環図は、「意図せざる在庫積み上がり局面」となっていたが、4月と5月のデータの在庫循環局面は、暫定的に「在庫積み増し局面」に戻っていた。第2四半期も、この状態の維持が期待されている。

在庫は、前月比0.6%の上昇。

5月の在庫が上昇した業種は鉄鋼業、輸送機械工業、電子部品・デバイス工業等で、低下した業種は石油・石炭製品工業、非鉄金属工業、電気機械工業等だった。

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基調判断は「緩やかな持ち直し」

5月の鉱工業生産は4カ月振りマイナスとなったが、低下幅はマイナス0.2%と小幅なものに留まった。5月の生産予測調査の補正結果からは、さらに大きい生産低下も想定されていたが、生産は維持したと言える。その結果、4月と5月の平均値は第1四半期の水準を上回っており、前期比連続マイナスは避けられそうな状況だ。

5月の生産、出荷の低下は、主に輸送機械工業の低下によるものだったが、輸送機械工業の低下は4月の生産予測調査の段階から織り込まれているものだった。また、先行きについては劇的な上昇が見込まれておらず、堅調な生産計画となっている。

他方、在庫の状況はあまり改善されてはいない状況だ。これらの結果を踏まえて経産省では、5月の鉱工業生産の基調判断について、「緩やかな持ち直し」で据え置きとしたいとしている。

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5月までの鉱工業生産が、緩やかなペースで持ち直していること自体は認められるが、在庫の状況には注視が必要かとみられている。

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製造工業生産予測調査

主要企業の生産計画を調査した製造工業生産予測調査によると、6月は前月比0.4%の上昇、7月は同0.8%の上昇とされている。

6月の上昇業種は輸送機械工業、汎用・業務用機械工業、電気・情報通信機械工業等で、7月の上昇業種は化学工業、生産用機械工業、電子部品・デバイス工業等となっている。

製造工業生産予測調査(生産計画から見る生産動向)

(季節調整済前月比(%))平成27年(2015年)=100

平成30年6月見込み 平成30年7月見込み
平成30年6月調査(今回) 0.4 0.8
平成30年5月調査(前回) ▲0.8

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平成30年7月9日(月)Vol.739

販売 6カ月連続前年割れ

エネ庁 5月の石油統計速報発表

 

資源エネルギー庁は6月29日、5月の石油統計速報を発表した。概要は次の通り。

1.原油の動向

5月の原油輸入量は1,469万㎘、前年同月比107.1%と前年を上回った。輸入量の多い順にみると次のようになっている。

(1)サウジアラビア(560万㎘、前年同月比101.0%)

(2)アラブ首長国連邦(304万㎘、同99.4%)

(3)カタール(136万㎘、同146.9%)

(4)イラン(104万㎘、同131.5%)

(5)クウェート(100万㎘、同91.1%)

5月の中東依存度は89.9%、前年同月に比べ6.6ポイント増と10カ月連続で前年を上回った。

2.燃料油の生産

燃料油の生産は1,298万㎘、前年同月比97.0%と6カ月連続で前年を下回った。油種別にみるとB・C重油が前年同月を上回ったが、ガソリン、ナフサ、ジェット燃料油、灯油、軽油及びA重油が前年同月を下回った。

3.燃料油の輸入・輸出

燃料油の輸入は305万㎘、前年同月比105.9%と前年を上回った。輸出は253万㎘、前年同月比101.2%と2カ月連続で前年を上回った。

4.燃料油の国内販売

燃料油の国内販売は1,305万㎘、前年同月比98.5%と3カ月連続で前年を下回った。油種別にみるとジェット燃料油が前年同月を上回ったが、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油、A重油及びB・C重油が前年同月を下回った。

5.燃料油の在庫

燃料油の在庫は937万㎘、前年同月比98.8%と2カ月連続で前年を下回った。 油種別にみるとナフサ、灯油及び軽油が前年同月を上回ったが、ガソリン、ジェット燃料油、A重油及びB・C重油が前年同月を下回った。

※添付資料

石油需給速報 平成30年5月 Excel

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平成30年7月9日(月)Vol.740

粗鋼生産 前年比増に転じる

燃料油生産 前年比5カ月連続減

経産省 5月の生産動態統計速報発表

 

経済産業省は6月29日、5月の生産動態統計速報を発表した。それによると粗鋼生産量は909.7万トンと前月比4.3%、前年同月比1.9%のともに増となり、前年同月比では前月の減から増に転じた。また、石油製品生産量は燃料油計が1,297.7万㎘と前月比4.0%、前年同月比3.0%のともに減となり、前年同月比では5カ月連続の減となった。

【5月の鉄鋼生産】

5月の鉄鋼生産は銑鉄、粗鋼、熱間圧延鋼材のいずれも前月比、前年同月比とも増加した。

銑鉄生産は680.7万トンと前月比7.5%増、前年同月比1.6%増となり、前年同月比では2カ月振りの増加となった。

粗鋼生産は909.7万トンと前月比4.3%増、前年同月比1.9%増となり、前年同月比では2カ月振りの増加となった。5月の1日当たり粗鋼生産は29.3万トンで、4月の同29.1万トン比0.9%増となった。

炉別生産では、転炉鋼が689.0万トンと前月比6.8%増、前年同月比1.9%増、電炉鋼が220.3万トンと前月比2.9%減、前年同月比1.7%増となり、前年同月比では転炉鋼は2カ月振りの増加、電炉鋼は20カ月連続の増加となった。

鋼種別生産では、普通鋼が677.5万トンと前月比2.8%増、前年同月比0.8%増、特殊鋼が231.8万トンと前月比9.0%増、前年同月比4.8%増となり、前年同月比では普通鋼は2カ月振りの増加、特殊鋼は7カ月連続の増加となった。

熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は785.8万トンと前月比2.6%増、前年同月比1.1%増となり、前年同月比では2カ月振りの増加となった。

普通鋼熱間圧延鋼材の生産は605.3万トンと前月比2.2%増、前年同月比0.2%減となり、前年同月比では2カ月連続の減少となった。

特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は180.5万トンと前月比3.7%増、前年同月比5.8%増となり、前年同月比では5カ月連続の増加となった。

主要品種の生産内訳をみると、普通鋼では鋼帯が364.9万トンと前月比6.0%増だが、前年同月比2.3%に減。冷延広幅帯鋼が158.4万トンと前月比5.1%増だが、前年同月比0.8%の微減。鋼板が83.3万トンと前月比6.2%減だが、前年同月比9.1%増。小形棒鋼が71.1万トンと前月比4.8%減だが、前年同月比1.2%増。H形鋼が36.5万トンと前月比、前年同月比ともに8.3%増。冷延電気鋼帯が11.0万トンと前月比2.4%、前年同月比4.8%のともに減。線材が15.0万トンと前月比1.5%、前年同月比2.6%のともに増となった。

特殊鋼では、熱間圧延鋼材が180.4万トンと前月比3.7%、前年同月比5.8%のともに増。冷延広幅鋼帯が27.1トンと前月比5.3%、前年同月比4.9%のともに増となった。

熱間鋼管では、普通鋼が35.6万トンと前月比3.0%減だが、前年同月比2.0%増。特殊鋼が15.6トンと前月比7.5%増だが、前年同月比7.6%減となった。

めっき鋼材では、亜鉛めっき鋼板が93.7万トンと前月比3.6%、前年同月比2.3%のともに増となった。

【5月の鉄鋼出荷】

5月の主要品種の出荷を品目別にみると、普通鋼の鋼帯が170.1万トンと前月比4.2%、前年同月比1.5%のともに増。鋼板が85.4万トンと前月比0.8%の微減だが、前年同月比15.5%の2桁増。小形棒鋼が72.7万トンと前月比1.7%、前年同月比8.8%のともに増。H形鋼が35.5万㌧と前月比9.8%増で、前年同月比も10.8%の2桁増。冷延広幅帯鋼が55.9万トンと前月比6.5%増だが、前年同月比5.1%減。線材が14.3万トンと前月比3.7%減だが、前年同月比0.6%の微増となった。

特殊鋼では熱間圧延鋼材が121.9万トンと前月比1.9%増だが、前年同月比2.8%減。冷延広幅帯鋼が23.3万トンと前月比、前年同月比ともに0.7%の微減となった。

熱間鋼管では普通鋼が31.1万トンと前月比1.2%、前年同月比5.9%のともに増。特殊鋼が13.1万トンと前月比2.5%増だが、前年同月比12.6%の2桁減となった。

めっき鋼板では、亜鉛めっき鋼板が87.6万トンと前月比2.8%増だが、前年同月比3.6%減となった。

【5月の石油生産】

5月の石油製品の生産を油種別にみると、重油が221.8万㎘と前月比8.6%減だが、前年同月比4.4%増。ガソリンが430.8万㎘で前月比3.8%増だが、前年同月比2.1%減。軽油が314.9万㎘と前月比4.7%、前年同月比3.4%のともに減。灯油が72.1万㎘と前月比8.6%減で、前年同月比も16.5%の2桁減。ナフサが117.8万㎘と前月比20.2%の大幅減で、前年同月比も10.6%の2桁減。ジェット燃料油が140.3万㎘と前月比2.4%増だが、前年同月比0.1%の微減。液化石油ガスが35.4万トンと前月比6.8%減で、前年同月比も11.8%の2桁減。アスファルトが23.3万トンと前月比18.4%の2桁増で、前年同月比も4.9%増。潤滑油が21.5万㎘と前月比6.4%減だが、前年同月比44.3%の大幅増となった。

【5月の石油出荷】

5月の石油製品の出荷をみると、燃料油計で1,557.1万㎘と前月比2.0%、前年同月比1.3%のともに減となった。油種別では重油が228.3万㎘と前月比9.8%減だが、前年同月比4.0%増。ガソリンが436.7万㎘と前月比2.2%増だが、前年同月比0.5%の微減。軽油が336.7万㎘と前月比3.9%増だが、前年同月比1.6%減。灯油が69.7万㎘と前月比20.4%の大幅減で、前年同月比も14.0%の2桁減。ナフサが335.7万㎘と前月比10.0%の2桁減で、前年同月比7.3%減。ジェット燃料油が150.0万㎘と前月比21.5%の大幅増で、前年同月比も12.3%の2桁増。液化石油ガスが44.5万トンと前月比6.7%、前年同月比7.1%のともに減。アスファルトが16.5万トンと前月比8.3%増で、前年同月比も18.8%の2桁増。潤滑油が22.2万㎘と前月比6.5%減だが、前年同月比22.7%の大幅増となった。

【5月のコークス・石灰石】

5月のコークスの生産は280.6万トンと前月比4.0増だが、前年同月比1.6%減。出荷は76.2万トンと前月比8.6%増で、前年同月比も16.2%の2桁増となった。

5月の石灰石の生産は1,175.4万トンと前月比3.5%増で、前年同月比も0.7%の微増。出荷は933.7万トンと前月比2.5%減だが、前年同月比1.1%増を示した。

※添付資料

鉄鋼統計速報 平成30年5月 Excel

資源エネルギー統計速報 平成30年5月 Excel

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