No.744: 生産は緩やかな持ち直し 経産省 10月の鉱工業生産・出荷・在庫速報発表
No.745: 生産は11、12月とも上昇 経産省 製造工業生産予測指数
No.746: 燃料油販売8カ月振り前年比増 エネ庁10月の石油統計速報発表
No.747: 鋼材出荷 軒並み大幅増 燃料油生産 前年比11カ月連続減 経産省 10月の生産動態統計速報発表

平成30年12月8日(土)Vol.744

生産は緩やかな持ち直し

経産省 10月の鉱工業生産・出荷・在庫速報発表

 

経済産業省は11月30日、10月の鉱工業生産・出荷・在庫速報を発表した。それによると10月は生産が前月の低下幅を大きく上回る2.9%上昇し、本年最高の数値を示した。

10月生産は前月比2.9%上昇

10月の鉱工業生産は、季節調整済指数105.9、前月比2.9%と2カ月振りの前月比上昇となった。経産省では今回の10月分から、速報を2010年から2015年に基準年を更新したが、この新基準の鉱工業生産では、9月確報が前月比0.4%低下(2010年基準速報値では−1.1%で、低下幅が圧縮されている)だったので、それを大きく上回る上昇幅となった。

第3四半期の生産指数の値が103.1(前期比−1.3%)だったので、第4四半期は、非常に高い水準からのスタートとなった。

本年7〜9月期は自然災害の影響もあり、一時的に鉱工業生産が低迷したが、そこからの反動分を含めて10月には大きな生産回復をみせ、高い水準の鉱工業生産となった。

10月は13業種が前月比上昇

10月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち13業種が前月比上昇、2業種が前月比低下となった。今回の基準改定で少しきめ細かい業種分類にしており、輸送機械工業を自動車工業とそれ以外に分割したり、化学工業から無機・有機化学のような原材料を中心に上流業種を分離し、消費財的な化学工業の動きを示すと考えられる化学工業(除く無機・有機化学工業、医薬品)と分割したりしている。

10月の生産上昇への寄与が大きかった業種は汎用・業務用機械工業、電子部品・デバイス工業、そして自動車工業だった。この3業種それぞれの上昇寄与は、0.5%ポイントを超えており、鉱工業生産の前月比上昇幅2.9%の半分は、この3業種によって説明されることになる。

また、この3業種に続いてみると、電気・情報通信機械工業が0.4%ポイントほどの上昇寄与、輸送機械工業(除く自動車工業)が0.2%ポイントほどの上昇寄与で続いている。

上昇寄与の最も大きかった汎用・業務用機械工業の前月比は6.9%上昇で、2カ月連続の生産上昇となっている。昨年平均が101.6で、本年3月の112.3が、9月までの今年の最高値だったことを考えると、今回の指数値は116.2、前年同月比16.8%増と水準的にも非常に高い水準であり、工場内のコンベアや水管ボイラなどの設備機器が上昇要因となっている。

上昇寄与2位の電子部品・デバイス工業の前月比は8.6%で、3カ月振りの上昇となっている。指数値も111.5と本年2位の高い水準となっている。昨年平均の指数が104.1なので、10月の電子部品・デバイス工業の生産は相当高い水準である。スマートフォンに向けた中小型の液晶パネルが先導役だった。

上昇寄与3位の自動車工業は前月比3.1%上昇で、生産指数は4月、3月に次ぐ、本年3位の108.4となった。5カ月振りに前年同月水準を超える生産となっており、水準的に高いことがわかります。軽乗用車の生産は前月比マイナスだったが、普通乗用車、小型乗用車の生産が増加となり、自動車工業の押し上げ役になっている。

鉱工業出荷も前月比5.4%上昇

10月の鉱工業出荷は指数値106.6、前月比5.4%と2カ月振りの前月比上昇となった。指数値106.6は、本年4月の105.2を超えて、本年の最高値となった。昨年平均の出荷指数が102.2で、10月の前年同月比も7.7%と大きく上昇しているので、10月の出荷は、高い水準にあると言える。

業種的には鉄鋼・非鉄金属工業、自動車工業、電気・情報通信機械工業などが上昇寄与業種として並んでいる。全体15業種のうち、石油・石炭製品工業を除く14業種の出荷が前月比上昇となっており、業種的に万遍なく出荷は上昇していたようだ。

財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、最終需要財の出荷は前月比5.2%上昇、生産財の出荷は前月比5.5%上昇だった。

最終需要財の内訳の中で、10月の出荷上昇に対する寄与、影響度が大きかったのは、資本財だった。輸送機械を除いた資本財の上昇寄与が、資本財全体の半分程度なので、工場等の固定設備に向けられる財とともに、鋼船など企業投資の対象となる輸送機械の出荷も好調であったことがわかる。

消費財の中では、出荷指数をみると耐久消費財も上昇しているが、化粧品関係の出荷が好調だった非耐久消費財の上昇寄与の方が相対的に大きくなっていた。

在庫 本年初の前年同月比減

10月の鉱工業在庫は指数値101.2、前月比−1.4%と2カ月振りに前月比低下となった。出荷の勢いがあり、生産増の下でも在庫が低下した。

在庫の前月比−1.4%に対して、鉄鋼・非鉄金属工業の低下寄与が−1.15%ポイントと大部分を占めていた。

鉄鋼・非鉄金属工業の在庫は9月に前月比5.2%上昇、前年同月比10.9%と方向感、水準感ともに高くなっていた。そこから10月の在庫は、前月比−6.3%で3カ月振りの低下、前年同月比−2.3%で13カ月振りの低下となり、方向感、水準感ともに庫圧力の低下を実感できる動きとなった。その在庫指数値100.9は、今年1月と同じ値で、今年の最低値となっており、年央に積み上がった在庫が解消されたようだ。

鉱工業全体の在庫は、この鉄鋼・非鉄金属工業の在庫低下ほど劇的な動きとはなっていないが、9月末の在庫積み上がりは相当程度解消され今年1月、2月の低水準に次ぐ在庫レベルに下がり、1年振りに前年水準も下回った。10月末段階では、在庫の積み上がりは止まったようだ。

基調判断は上方修正

10月の鉱工業生産は2カ月振りの前月比上昇で、上昇幅は2.9%と9月の低下幅を大きく上回る上昇幅となり、今年で最も高い生産指数値となった。昨年平均103.1に対し、10月は105.9と高い水準となっており、第3四半期の低迷振りとは大分異なる動きとなった。

出荷にも、業種全般的に勢いがあり、在庫も、鉄鋼・非鉄金属工業の在庫低下による部分が大きいが、鉱工業全体でみても在庫の積み上がりにストップがかかったようだ。

このような動きを踏まえて経産省では、10月の鉱工業生産の基調判断について、「生産は緩やかな持ち直しに上方修正したい」としている。

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平成30年12月8日(土)Vol.745

生産は11、12月とも上昇

経産省 製造工業生産予測指数

 

経産省は11月30日、10月分の鉱工業生産・出荷在庫指数速報とともに、11月に実施した11月及び12月の主要企業の生産計画を調査した製造工業生産予測指数を発表した。

それによると製造工業生産予測は、11月が前月比0.6%の上昇、12月が同2.2%の上昇見込みとなった。概要は次の通り。

11月の上昇業種

化学工業、汎用・業務用機械工業、電子部品・デバイス工業等

12月の上昇業種

生産用機械工業、輸送機械工業、鉄鋼・非鉄金属工業等

製造工業生産予測調査(生産計画から見る生産動向)

(季節調整済前月比(%))

平成30年11月見込み 平成30年12月見込み
平成30年11月調査(今回) 0.6 2.2
平成30年10月調査(前回) -0.8

平成27年(2015年)=100

製造工業生産予測指数を補正した試算値は、11月は-2.1%の低下見込み。

なお、10月の試算値は0.9%であったが、鉱工業指数の10月の前月比は2.9%であった。

製造工業生産予測指数の試算値(季節調整済前月比(%))

試算値 予測調査結果
11月前月比 -2.1%(-3.1~1.1%) 0.6%

平成27年(2015年)=100

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平成30年12月8日(土)Vol.746

燃料油販売8カ月振り前年比増

エネ庁10月の石油統計速報発表

 

資源エネルギー庁は11月30日、10月の石油統計速報を発表した。概要は次の通り。

1.原油の動向

10月の原油輸入量は1,522万㎘、前年同月比105.5%と前年を上回った。輸入量の多い順にみると次の通りとなっている。

(1)サウジアラビア(620万㎘、前年同月比108.2%)

(2)アラブ首長国連邦(375万㎘、同97.4%)

(3)クウェート(113万㎘、同128.3%)

(4)カタール(109万㎘、同96.1%)

(5)ロシア(80万㎘、同135.0%)

10月の中東依存度は86.2%で、前年同月に比べ1.5ポイント減と前年を下回った。

2.燃料油の生産

燃料油の生産は1,276万㎘、前年同月比95.3%と11カ月連続で前年を下回った。油種別にみると、A重油及びB・C重油は前年同月を上回ったが、ガソリン、ナフサ、ジェット燃料油、灯油及び軽油は前年同月を下回った。

3.燃料油の輸入、輸出

燃料油の輸入は330万㎘、前年同月比121.1%と2カ月連続で前年を上回った。輸出は197万㎘、前年同月比101.7%と5カ月振りに前年を上回った。

4.燃料油の国内販売

燃料油の国内販売は1,410万㎘、前年同月比101.5%と8カ月振りに前年を上回った。油種別にみると、ナフサ、ジェット燃料油、軽油、A重油及びB・C重油は前年同月を上回ったが、ガソリン及び灯油は前年同月を下回った。

5.燃料油の在庫

燃料油の在庫は1,023万㎘、前年同月比99.1%と前年を下回った。油種別にみると、ガソリン、ナフサ、灯油及びA重油は前年同月を上回ったが、ジェット燃料油、軽油及びB・C重油は前年同月を下回った。

※添付資料

石油需給概要 平成30年10月分 Excel

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平成30年12月8日(土)Vol.747

鋼材出荷 軒並み大幅増

燃料油生産 前年比11カ月連続減

経産省 10月の生産動態統計速報発表

経済産業省は11月30日、10月の生産動態統計速報を発表した。それによると粗鋼生産量は857.8万トンと前月比1.8%増だが、前年同月比4.4%の減となり、前年同月比では2カ月連続の減となった。

また、石油製品生産量は燃料油計が1,275.7万㎘と前月比7.3%、前年同月比4.7%のともに減となり、前年同月比では11カ月連続の減となった。

【10月の鉄鋼生産】

10月の鉄鋼生産は銑鉄、粗鋼は、前月比では増加したものの、前年同月比では減少した。熱間圧延鋼材は前月比、前年同月比とも増加した。

銑鉄生産は628.1万トンと前月比0.3%増だが、前年同月比4.4%減となり、前年同月比では2カ月連続の減少となった。1~10月計では6,482.4万トンで前年同期比0.8%減少となった。

粗鋼生産は856.4万トンと前月比1.6%増だが、前年同月比4.5%減となり、前年同月比では2カ月連続の減少となった。10月の1日当たり粗鋼生産は27.6万トンで、9月の同28.1万トン比1.7%減となった。1~10月計では8,718.8万トンで前年同期比0.1%減となった。

炉別生産では、転炉鋼が631.0万トンと前月比0.1%、前年同月比5.8%のともに減。電炉鋼が225.4万トンと前月比6.8%増だが、前年同月比0.9%減となり、前年同月比では転炉鋼、電炉鋼ともに2カ月連続の減少となった。

鋼種別生産では、普通鋼が642.9万トンと前月比0.9%増だが、前年同月比6.3%減。特殊鋼が213.5万トンと前月比3.9%、前年同月比1.0%のともに増となり、前年同月比では普通鋼が2カ月連続の減少、特殊鋼が2カ月振りの増加となった。

熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は787.8万トンと前月比7.3%、前年同月比0.1%のともに増となり、前年同月比では4カ月振りの増加となった。1~10月計では7,729.4万トンで前年同期比0.2%増となった。

普通鋼熱間圧延鋼材の生産は609.5万トンと前月比7.3%増だが、前年同月比0.5%減となり、前年同月比では4カ月連続の減少となった。1~10月計では5,994.0万トンで前年同期比0.5%減となった。

特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は178.3万トンと前月比7.4%、前年同月比2.2%のともに増となり、前年同月比では2カ月振りの増加となった。1~10月計では1,735.3万トンで前年同期比2.6%増となった。

主要品種の生産内訳をみると普通鋼では、鋼帯が349.0万トンと前月比4.7%増だが、前年同月比2.3%減。冷延広幅帯鋼が152.6万トンと前月比6.6%増だが、前年同月比0.1%の微減。鋼板が87.1万トンと前月比1.3%、前年同月比1.6%のともに増。小形棒鋼が77.3万トンと前月比9.4%増だが、前年同月比0.7%の微減。H形鋼が33.6万トンと前月比15.0%の2桁増だが、前年同月比2.1%減。冷延電気鋼帯が152.6万トンと前月比6.6%増だが、前年同月比0.1%の微減。線材が15.3万トンと前月比14.9%の2桁増だが、前年同月比2.0%減となった。

特殊鋼では、熱間圧延鋼材が179.2万トンと前月比7.9%、前年同月比2.8%のともに増。冷延広幅鋼帯が26.3トンと前月比7.6%、前年同月比1.0%のともに増となった。

熱間鋼管では、普通鋼が41.9万トンと前月比17.7%の2桁増で、前年同月比も8.0%の増。特殊鋼が13.5トンと前月比9.5%減だが、前年同月比15.8%の2桁減となった。

めっき鋼材では、亜鉛めっき鋼板が92.7万トンと前月比11.6%の2桁増で、前年同月比も1.4%増となった。

【10月の鉄鋼出荷】

10月の主要品種の出荷を品目別にみると、普通鋼の鋼帯が179.9万トンと前月比23.8%、前年同月比19.4%のともに大幅増。冷延広幅帯鋼が66.8万トンと前月比36.3%、前年同月比31.1%のともに大幅増。鋼板が97.2万トンと前月比21.8%、前年同月比23.9%のともに大幅増。小形棒鋼が81.9万トンと前月比22.7%の大幅増で、前年同月比も8.3%増。H形鋼が35.3万㌧と前月比23.0%の大幅増で、前年同月比も8.0%増。線材が16.2万トンと前月比36.0%の大幅増で、前年同月比も12.7%の2桁増となった。

特殊鋼では熱間圧延鋼材が133.4万トンと前月比17.9%の2桁増で、前年同月比も7.4%増。冷延広幅帯鋼が25.9万トンと前月比17.0%増の2桁増で、前年同月比21.9%の大幅増となった。

熱間鋼管では普通鋼が37.5万トンと前月比25.8%の大幅増で、前年同月比18.4%の2桁増。特殊鋼が12.2万トンと前月比37.6%、前年同月比23.6%のともに大幅増となった。

めっき鋼板では、亜鉛めっき鋼板が98.3万トンと前月比24.9%、前年同月比20.1%のともに2桁増となった。

【10月の石油生産】

10月の石油製品の生産は、前月比では重油と灯油を除いて減少したが、前年同月比では重油を除いた全品種が減少となった。油種別みると重油が252.2万㎘と前月比19.4%、前年同月比18.4%のともに2桁増。ガソリンが394.6万㎘と前月比7.7%、前年同月比7.5%のともに減。軽油が293.7万㎘と前月比18.1%の2桁減で、前年同月比も8.5%減。灯油が105.3万㎘と前月比4.7%増だが、前年同月比15.4%の2桁減。ナフサが128.1万㎘と前月比9.2%、前年同月比4.2%のともに減。ジェット燃料油が101.9万㎘と前月比25.6%の大幅減で、前年同月比も15.5%の2桁減。液化石油ガスが24.5万トンと前月比30.4%の大幅減で、前年同月比も14.9%の2桁減。アスファルトが20.4万トンと前月比8.9%、前年同月比3.8%のともに減。潤滑油が18.8万㎘と前月比12.7%、前年同月比10.5%のともに2桁減となった。

【10月の石油出荷】

10月の石油製品の出荷をみると、燃料油計で1,602.7万㎘と前月比0.4%の微増で、前年同月比も2.2%増となった。油種別では重油が254.9万㎘と前月比12.3%増で、前年同月比も21.4%の2桁増。ガソリンが421.2万㎘と前月比3.8%、前年同月比3.8%のともに減。軽油が332.8万㎘と前月比9.1%減だが、前年同月比5.1%増。灯油が118.5万㎘と前月比39.3%の大幅増だが、前年同月比7.6%減。ナフサが358.7万㎘と前月比5.9%増で、前年同月比0.0%の横這い。ジェット燃料油が116.5万㎘と前月比17.2%の2桁減だが、前年同月比0.6%の微増。液化石油ガスが37.5万トンと前月比12.1%の2桁減で、前年同月比2も.2%減。アスファルトが19.8万トンと前月比9.7%増で、前年同月比も10.2%の2桁増。潤滑油が21.5万㎘と前月比5.3%減だが、前年同月比1.1%増となった。

【10月のコークス・石灰石】

10月のコークスの生産は279.4万トンと前月比4.7%、前年同月比3.7%のともに増。出荷は71.4万トンと前月比1.6%、前年同月比1.9%のともに減となった。

10月の石灰石の生産は1,236.1万トンと前月比3.6%、前年同月比1.8%のともに増。出荷は1,032.6万トンと前月比9.7%、前年同月比5.4%のともに増を示した。

※添付資料

鉄鋼主要製品統計速報 平成30年10月分 Excel
資源エネルギー統計速報 平成30年10月分 Excel

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