平成31年1月8日(土)Vol.748
11月生産は前月比1.1%低下
出荷も前月比1.4%低下
経産省 11月の鉱工業生産・出荷・在庫速報発表
経済産業省は12月28日、11月の鉱工業・生産出荷・在庫速報を発表した。概要は次の通り。
2018年11月の鉱工業生産は、季節調整済指数104.7、前月比−1.1%と2カ月振りの前月比低下となった。11月初旬段階の生産計画値からは、−1.7%の下方修正となっており、その当時に想定されていた生産の変化を下回る結果となった。
10月の指数値は、自然災害の影響もあり本年7〜9月期に一時的に低迷していたところから大きな回復をみせていたが、11月はその水準から減少することとなった。
11月は8業種が前月比低下
11月の鉱工業生産を業種別にみると、8業種が前月比低下、7業種が前月比上昇となった。
11月の生産低下への寄与が特に大きかった業種は、汎用・業務用機械工業だった。それ以外には電気・情報通信機械工業、電子部品・デバイス工業の2業種が続くという低下寄与の順番だった。
鉱工業生産の低下全体に対し、汎用・業務用機械工業の低下寄与が8割の大きさとなっていた。11月の鉱工業生産の低下寄与の多くが汎用・業務用機械工業の低下で説明されることになる。中でもコンベヤ、一般用蒸気タービン、水管ボイラなどの汎用機械関連の低下寄与が大きくなった。
一方で、生産用機械工業、化学工業(除く無機・有機化学工業・医薬品)、石油・石炭製品工業などは増加した。
11月の鉱工業出荷は指数値103.1、前月比−1.4%と2カ月振りの前月比低下となった。10月は大きな回復を見せていが、生産同様、10月と比較して減少した。
業種別にみると前月比で11業種が低下、3業種が上昇、1業種が横ばいとなっていました。業種的には、汎用・業務用機械工業、自動車工業、電気・情報通信機械工業、鉄鋼・非鉄金属工業といった業種の出荷低下の影響が大きくなった。
財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、最終需要財の出荷は前月比0.2%上昇、生産財の出荷は前月比2.8%低下だった。生産の低下に合わせて、生産財の出荷が相対的に大きく落ち込んだ。
生産財の内訳の中で、11月の出荷低下に対する寄与、影響度が大きかったのは、鉱工業用生産財だった。アクティブ型液晶パネル(中・小型)やリチウムイオン蓄電池などの出荷が低下した。
最終需要財については、資本財や耐久消費財、建設財も出荷が低下したものの、非耐久消費財が上昇したことで、全体では出荷は僅かながら上昇することになった。
在庫 2カ月振り前月比増
11月の鉱工業在庫は指数値101.5、前月比0.2%と2カ月振りに前月比上昇となった。生産低下の勢いよりも出荷低下の度合いが大きく、在庫は若干増加した。前年同月比も0.7%上昇となり、前年水準からの上昇幅も大きくなった。
11月の業種別の在庫では、8業種の在庫が前月比上昇となった。石油・石炭製品工業や自動車工業、化学工業(除.無機・有機化学工業・医薬品)の在庫上昇の影響が大きくなっている。
基調判断 据え置き
11月の鉱工業生産は、2カ月振りの前月比マイナスだった。11月初旬の生産計画からすると、生産実績は下方修正となった。ただし、生産の減少は主に汎用・業務用機械工業など一部の業種に大きく偏っている。また、指数水準としては2018年3月、4月、5月に次ぐ水準にある。先行きについては、やや慎重な生産計画とみられるが、四半期ベースでは10〜12月期は7〜9月比で上昇が予想される。
鉱工業出荷については、生産よりも幅広い業種で減少がみられるが、11月の出荷が減少した業種としては、生産も大きく減少した汎用・業務用機械工業があった。また、前月の出荷上昇への寄与が高かった鉄鋼・非鉄金属工業、自動車工業、電気・情報通信機械工業でも出荷低下への寄与が高くみられた。10月の鉱工業出荷は前月比3.5%上昇と大きく上昇していたので、11月の出荷の減少は、先月の出荷の大幅な上昇の反動減の面もあると考えられる。
これらの結果を踏まえ、11月の鉱工業生産の基調判断については、「生産は緩やかな持ち直し」で据え置きたい。
平成31年1月8日(土)Vol.749
製造工業生産予測調査〜製造業の生産計画
生産 12月上昇、1月低下予測
主要企業の生産計画を調査した製造工業生産予測調査によると、12月は前月比2.2%の上昇、1月は同0.8%の低下見込み。
12月の上昇業種は生産用機械工業、電子部品・デバイス工業、輸送機械工業等。1月の低下業種は輸送機械工業、汎用・業務用機械工業、金属製品工業等。
製造工業生産予測調査(生産計画から見る生産動向)
(季節調整済前月比(%))
平成30年12月見込み | 平成31年1月見込み | |
平成30年12月調査(今回) | 2.2 | -0.8 |
平成30年11月調査(前回) | 2.2 |
平成27年(2015年)=100
予測指数の補正値試算
製造工業生産予測指数を補正した試算値は、12月が-0.7%の低下見込み。11月の試算値が-2.1%であったが、鉱工業指数の11月の前月比が-1.1%であった。
製造工業生産予測指数の試算値(季節調整済前月比(%))
試算値 | 予測調査結果 | |
12月前月比 | -0.7%(-1.7~0.3%) | 2.2% |
平成27年(2015年)=100
上段の数値が、最も可能性の高い値(最頻値)。最頻値とならない場合でも、( )の幅の中に90%の確率で収まるという計算結果になっている。
平成31年1月8日(土)Vol.750
生産 12カ月連続前年比減
エネ庁 11月の石油統計速報発表
資源エネルギー庁は12月28日、11月の石油統計速報を発表した。概要は次の通り。
1.原油の動向
11月の原油輸入量は1,488万㎘、前年同月比93.8%と前年を下回った。 輸入量の多い順にみると次のようになっている。
(1)サウジアラビア(549万㎘、前年同月比83.1%)
(2)アラブ首長国連邦(422万㎘、同106.8%)
(3)クウェート(136万㎘、同119.3%)
(4)カタール(128万㎘、同102.1%)
(5)ロシア(81万㎘、同104.1%)
今月の中東依存度は85.7%、前年同月に比べ5.1ポイント減と3カ月連続で前年を下回った。
2.燃料油の生産
燃料油の生産は1,416万㎘、前年同月比95.5%と12カ月連続で前年を下回った。油種別にみると、ジェット燃料油、A重油及びB・C重油は前年同月を上回ったが、ガソリン、ナフサ、灯油及び軽油は前年同月を下回った。
3.燃料油の輸入、輸出
燃料油の輸入は345万㎘、前年同月比119.9%と3カ月連続で前年を上回った。輸出は256万㎘、前年同月比96.6%と前年を下回った。
4.燃料油の国内販売
燃料油の国内販売は1,419万㎘、前年同月比93.9%と前年を下回った。油種別にみると、ナフサは前年同月を上回ったが、ガソリン、ジェット燃料油、灯油、軽油、A重油及びB・C重油は前年同月を下回った。
5.燃料油の在庫
燃料油の在庫は1,108万㎘、前年同月比108.8%と前年を上回った。油種別にみると、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油及びA重油は前年同月を上回ったが、ジェット燃料油及びB・C重油は前年同月を下回った。
※添付資料
石油需給概要 平成30年11月 Excel
平成31年1月8日(土)Vol.751
鋼材生産 3カ月連続減
燃料油生産 前年比12カ月連続減
経産省11月の生産動態統計速報発表
経済産業省は12月28日、11月の生産動態統計速報を発表した。それによると粗鋼生産量は865.9万トンと前月比0.9%の微増だが、前年同月比0.5%の微減となり、前年同月比では3カ月連続の減となった。
また、石油製品生産量は燃料油計が1,4161万㎘と前月比11.0%の2桁増だが、前年同月比4.5%の減となり、前年同月比では12カ月連続の減となった。
【11月の鉄鋼生産】
11月の鉄鋼生産は銑鉄、粗鋼は前月比では増加したものの、前年同月比では減少した。熱間圧延鋼材は前月比、前年同月比ともに減となった。
銑鉄生産は632.1万トンと前月比0.6%の微増だが、前年同月比1.6%減となり、前年同月比では3カ月連続の減少となった。1~11月計では7,114.5万トンで、前年同期比0.8%の微減少となった。
粗鋼生産は、865.8万トンと前月比0.9%微増だが、前年同月比0.5%微減となり、前年同月比では3カ月連続の減少となった。11月の1日当たり粗鋼生産は28.9万トンで、10月の同27.7万トン比4.3%増となった。1~11月計では9,586.0万トンで、前年同期比0.1%の微減となった。
炉別生産では、転炉鋼が641.7万トンと前月比1.7%増だが、前年同月比1.0%減。電炉鋼が224.1万トンと前月比1.2%減だが、前年同月比0.8%微増となり、転炉鋼は前年同月比で3カ月連続の減、電炉鋼は3カ月振りの増となった。
鋼種別生産では、普通鋼が651.5万トンと前月比1.2%増だが、前年同月比1.6%減、特殊鋼が214.3万トンと前月比0.2%の微増で、前年同月比も3.0%増となり、普通鋼は前年同月比では3カ月連続の減、特殊鋼は2カ月連続の増となった。
熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は762.5万トンと前月比2.1%減で、前年同月比0.4%の微減となり、前年同月比では5カ月連続の減となった。1~11月計では8,483.0万トンで前年同期比横ばいとなった。
普通鋼熱間圧延鋼材の生産は590.2万トンと前月比1.6%の減で、前年同月比も0.3%の微減となり、前年同月比では5カ月連続の減となった。1~11月計では6,574.5万トンで前年同期比0.7%減―となった。
特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は172.3万トンと前月比3.8%、前年同月比0.6%のともに減となり、前年同月比では2カ月振りの減少となった。1~11月計では1,908.5万トンで前年同期比2.3%増となった。
主要品種の生産内訳をみると普通鋼では、鋼帯が344.1万トンと前月比1.4%減で、前年同月比も0.1%の微減。冷延広幅帯鋼が149.1万トンと前月比2.3%、前年同月比1.4%のともに減。鋼板が87.9万トンと前月比0.9%の微増で、前年同月比も4.2%の増。小形棒鋼が74.5万トンと前月比3.6%、前年同月比1.4%のともに減。H形鋼が33.6万トンと前月比横這いだが、前年同月比1.4%増。冷延電気鋼帯が11.1万トンと前月比11.1%減だが、前年同月比3.4%増。線材が13.5万トンと前月比11.5%の2桁減だが、前年同月比2.9%増となった。
特殊鋼では、熱間圧延鋼材が171.6万トンと前月比4.2%、前年同月比1.0%のともに減。冷延広幅鋼帯が26.2トンと前月比0.3%の微減だが、前年同月比6.0%の増となった。
熱間鋼管では、普通鋼が40.1万トンと前月比4.3%減だが、前年同月比3.9%増。特殊鋼が15.6トンと前月比15.4%、前年同月比14.7%のともに2桁増となった。
めっき鋼材では、亜鉛めっき鋼板が88.3万トンと前月比4.8%、前年同月比も1.7%のともに減となった。
【11月の鉄鋼出荷】
11の主要品種の出荷を品目別にみると、普通鋼の鋼帯が171.8万トンと前月比4.5%、前年同月比3.8%のともに減。冷延広幅帯鋼が58.5万トンと前月比12.4%の2桁減で、前年同月比も4.8%の減。鋼板が88.1万トンと前月比9.4%減だが、前年同月比4.0%増。小形棒鋼が75.2万トンと前月比7.9%減だが、前年同月比2.7%増。H形鋼が34.3万㌧と前月比3,0%減だが、前年同月比1.5%増。線材が14.1万トンと前月比12.9%減で、前年同月比も4.4%減となった。
特殊鋼では熱間圧延鋼材が128.9万トンと前月比3.4%減で、前年同月比も0.9%の微減。冷延広幅帯鋼が58.5万トンと前月比12.4%増の2桁減で、前年同月比も4.8%減となった。
熱間鋼管では普通鋼が35.0万トンと前月比6.6%減だが、前年同月比3.7%増。特殊鋼が12.2万トンと前月比横這いだが、前年同月比27.3%の大幅減となった。
めっき鋼板では、亜鉛めっき鋼板が96.3万トンと前月比2.0%減で、前年同月比も0.6%の微減となった。
【11月の石油生産】
11月の石油製品の生産は、前月比でアスファルトを除いて全品種増となったが、前年同月比では重油とジェット燃料油を除いて全品種減となった。油種別みると重油が259.9万㎘と前月比3.0%、前年同月比2.4%のともに増。ガソリンが414.1万㎘と前月比4.9%増だが、前年同月比9.0%減。軽油が340.7万㎘と前月比16.0%の2桁増だが、前年同月比1.6%減。灯油が134.0万㎘と前月比27.3%の大幅増だが、前年同月比13.3%の2桁減。ナフサが147.6万㎘と前月比15.3%の2桁増だが、前年同月比11.1%の2桁減。ジェット燃料油が119.8万㎘と前月比17.6%、前年同月比11.9%のともに2桁増。液化石油ガスが24.5万トンと前月比30.4%の大幅減で、前年同月比も14.9%の2桁減。アスファルトが18.2万トンと前月比10.6%の2桁減で、前年同月比も24.7%の大幅減。潤滑油が20.2万㎘と前月比7.9%増だが、前年同月比3.5%減となった。
【11月の石油出荷】
11月の石油製品の出荷をみると、燃料油計で1,642.7万㎘と前月比2.5%増だが、前年同月比8.6%減となった。油種別では重油が264.9万㎘と前月比4.0%増だが、前年同月比0.7%の微減。ガソリンが419.4万㎘と前月比0.4%の微減で、前年同月比7.7%減。軽油が326.2万㎘と前月比2.0%減で、前年同月比11.8%の2桁減。灯油が141.8万㎘と前月比19.7%の2桁増だが、前年同月比25.2%の大幅減。ナフサが383.8万㎘と前月比7.0%増だが、前年同月比4.7%減。ジェット燃料油が106.6万㎘と前月比8.5%、前年同月比6.4%のともに減。液化石油ガスが42.3万トンと前月比12.8%の2桁増だが、前年同月比4.3%減。アスファルトが17.5万トンと前月比11.4%の2桁減で、前年同月比も1.0%減。潤滑油が19.6万㎘と前月比8.5%減で、前年同月比29.6%の大幅減となった。
【11月のコークス・石灰石】
11月のコークスの生産は264.3万トンと前月比5.4%減で、前年同月比0.3%の微減。出荷は75.2万トンと前月比5.2%増で、前年同月比13.2%の2桁増となった。
11月の石灰石の生産は1,257.2万トンと前月比1.4%、前年同月比1.6%のともに増。出荷は1,015.5万トンと前月比1.5%減だが、前年同月比1.4%増を示した。
※添付資料
鉄鋼主要製品統計速報 平成30年11月分 Excel
資源エネルギー統計速報 平成30年11月分 Excel