令和1年6月11日(火)Vol.766
生産 2カ月振り前月比増
経産省 4月の鉱工業生産・出荷・在庫速報発表
経済産業省は5月31日、4月の鉱工業生産・出荷・在庫速報発表を発表した。それによると、4月の鉱工業生産は前月比0.6%上昇となり、2カ月振りの前月比上昇となった。3月の低下から反発し、幅広い業種でのやや大きめの上昇となった。経産省では今回の集計で、①4月生産は10業種が前月比上方修正 ②出荷も前月上方修正だが、在庫は前月比横這いとして、基調判断は「生産は一進一退」に上方修正している。
それによると4月の鉱工業生産は季節調整済指数102.8だった。鉱工業生産は3月が前月比-0.6%の低下となり、これにより第1四半期の指数値は102.4と、2017年第1四半期以来の水準まで低下していたが、4月は再びやや大きめの上昇をみせた。
3月速報の時点では、企業の生産計画の例年の上方バイアスを考慮すると、4月は前月比マイナス0.5%程度の低下を見込んでいたが、4月実績では想定を超える前月比上昇となった。
生産 10業種が前月比上昇
4月の鉱工業生産を業種別にみると、10業種が前月比上昇、5業種が前月比低下となった。4月の上昇業種については、3月に前月比で低下した業種全てが反発し上昇しただけでなく、より幅広い業種で上昇となった。
上昇寄与業種は自動車工業、生産用機械工業、輸送機械工業(除く自動車工業。以下同)等。他方、低下寄与業種としては汎用・業務用機械工業、電子部品・デバイス工業、無機・有機化学工業等が挙げられる。
上昇した自動車工業では普通乗用車、自動車用エンジン等の上昇寄与が大きく、生産用機械工業ではフラットパネル・ディスプレイ製造装置、金型等が上昇した。自動車工業を除く輸送機械工業では航空機用発動機部品、航空機用機体部品等が上昇した。
出荷も前月比上昇
4月の鉱工業出荷は指数値102.6、前月比1.7%上昇と2カ月振りの前月比上昇となった。出荷は3月が前月比-1.3%と大きめの低下とだったが、4月はそこから反発し、さらに大幅に上昇する動きとなった。
業種別にみれば12業種が前月比上昇、2業種が前月比低下、1業種が横ばいとなった。出荷についても、4月の上昇業種は3月に前月比で低下した業種全てが反発し上昇しただけでなく、より幅広い業種が上昇している。
出荷の上昇寄与業種は自動車工業、輸送機械工業、生産用機械工業等。他方、低下寄与業種は電子部品・デバイス工業、汎用・業務用機械工業の2業種だった。
自動車工業では軽乗用車、自動車用エンジン等が上昇した。輸送機械工業では鋼船等が上昇した。生産用機械工業は生産と同様、フラットパネル・ディスプレイ製造装置、金型等が上昇した。
財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、生産財の出荷は前月比0.4%上昇、最終需要財の出荷は前月比3.5%上昇だった。
4月は最終需要財が出荷増で、中でも消費財の出荷増が出荷指数の大幅な上昇を牽引した。耐久消費財と非耐久消費財合わせた上昇寄与が月の出荷上昇分の6割以上となった。また、投資財(資本財・建設財)についても出荷は上昇した。
生産財については、鉱工業用生産財が前月比横ばいにとどまったが、その他用生産財は前月比3.3%上昇した。
在庫 前月比横這い
4月の鉱工業在庫は指数値103.8、2カ月連続の前月比上昇のあと、前月比横ばいとなった。4月は生産・出荷とも上昇する中で、在庫指数が横ばいにとどまった。
4月の鉱工業生産は2カ月振りの前月比上昇だった。4月初旬の企業の生産計画の集計結果からは、上方バイアスを補正すると前月比-0.5%程度の低下が想定されていたが、実際には前月比で0.6%と、想定を上回る上昇となった。
その背景として3月はかなり生産水準が低下していたため、4月はその反動が現れたことも考えられるが、それだけでなくゴールデンウィークが例年より長かったことが、企業の生産計画からの下振れが例年ほどにはならなかったこと等に影響した可能性もある。
本年1月の鉱工業生産は、前月比マイナス2.5%と大幅な低下をみせたが、それ以来、低下と上昇を繰り返し、このところ横ばい的な動きにも見受けられる。
先行きについては、企業の生産計画の集計値そのままをみれば、5月の生産は前月比で大幅な上昇、6月の生産は前月比で大幅な低下となっている。企業の生産計画の上方バイアスを考えても、5月は上昇が想定されるところだが、6月の計画値の低下の大きさをみると、現時点で確たる判断は難しいものの、6月は低下することが考えられる。
経産省では、「このように先行きは振れが大きく、5月も引き続き上昇が見込まれるものの、6月以降の低下の可能性には注意を要するところだが、4月の鉱工業生産の基調判断については、このところの横這い的な動向を踏まえ、「生産は一進一退」と修正し、先行きを注視していきたい」としている。
令和1年6月11日(火)Vol.767
製造工業生産予測指数
生産は5月上昇、6月低下予測
経済産業省では5月31日、主要企業の生産計画を調査した製造工業生産予測を発表した。それよると、5月は前月比5.6%の上昇、6月は同-4.2%の低下が見込まれるとしている。
5月の上昇業種
輸送機械工業、生産用機械工業、汎用・業務用機械工業等
6月の低下業種
輸送機械工業、汎用・業務用機械工業、電気・情報通信機械工業等
製造工業生産予測調査(生産計画から見る生産動向)
(季節調整済前月比%)
2019年5月見込み | 2019年4月見込み | |
2019年5月調査(今回) | 5.6 | -4.2 |
2019年6月調査(前回) | 3.6 |
予測指数の補正値試算
製造工業生産予測指数の先行きを試算した補正値は、5月が1.5%の上昇見込みとなった。
4月の補正値は-0.5%だったが、鉱工業指数の4月の前月比は0.6%だった。
試算値 | 予測調査結果 | |
5月前月比 | 1.5(0.5~2.5) | 5.6 |
※上段の数値が、最も可能性の高い値(最頻値)。最頻値とならない場合でも、( )の幅の中に90%の確率で収まるという計算結果になっている。
令和1年6月11日(火)Vol.768
販売 6カ月振り前年比増
エネ庁 4月の石油統計速報発表
資源エネルギー庁は5月31日、4月の石油統計速報を発表した。概要は次の通り。
1.原油の動向
4月の原油輸入量は1,448万㎘で、前年同月比94.2%と2カ月連続で前年を下回った。輸入量の多い順にみると次の通り。
(1)サウジアラビア(511万㎘、前年同月比82.6%)
(2)アラブ首長国連邦(343万㎘、同80.0%)
(3)クウェート(157万㎘、同112.8%)
(4)カタール(120万㎘、同130.6%)
(5)ロシア(81万㎘、同101.4%)となっている。
4月の中東依存度は88.7%、前年同月比0.7ポイント減と2カ月連続で前年を下回った。
2.燃料油の生産
燃料油の生産は1,331万㎘、前年同月比98.5%と2カ月連続で前年を下回った。油種別にみるとジェット燃料油、灯油、軽油は前年同月を上回ったが、ガソリン、ナフサ、A重油、B・C重油は前年同月を下回った。
3.燃料油の輸入、輸出
燃料油の輸入は264万㎘、前年同月比109.7%と4カ月振りに前年を上回った。輸出は235万㎘、前年同月比98.5%と4カ月振りに前年を下回った。
4.燃料油の国内販売
燃料油の国内販売は1,342万㎘、前年同月比101.5%と6カ月振りに前年を上回った。油種別にみるとガソリン、ジェット燃料油、灯油、軽油、A重油は前年同月を上回ったが、ナフサ及びB・C重油は前年同月を下回った。
5.燃料油の在庫
燃料油の在庫は852万㎘、前年同月比95.4%と2カ月連続で前年を下回った。油種別にみるとナフサ、A重油、B・C重油は前年同月を上回ったが、ガソリン、ジェット燃料油、灯油及び軽油は前年同月を下回った
※添付資料
石油需給概要 2019年4月 Excel
令和1年6月11日(火)Vol.769
鋼材生産 8カ月連続前年比減
燃料油生産 再び前年比減
経産省 4月の生産動態統計速報発表
経済産業省は5月31日、4月の生産動態統計速報を発表した。それによると、前月が期末だったことから減少をみせているが、前年同月比でも景気後退傾向から多くの品目が減少をみせている。
まず、粗鋼生産量は846.7万トンと前月比4.8%、前年同月比では0.8%の微減ながら、これで8カ月連続の減となった。
また、石油製品生産量は燃料油計が1,330.5万㎘と前月比11.0%の2桁減で、前年同月比も1.6%減となった。
【4月の鉄鋼生産】
4月の銑鉄生産は、644.9万トンと前月比3.4%減だが、前年同月比1.8%増となり、前年同月比では8カ月振りの増加となった。
粗鋼生産は、864.7万トンと前月比4.8%減で、前年同月比も0.8の微%減となり、前年同月比では8カ月連続の減少となった。4月の1日当たり粗鋼生産は28.8万トンで、3月の同29.3万トンと比べて1.6%減となった。
炉別生産では、転炉鋼が649.0万トンと前月比4.3%減だが、前年同月比0.6%増となり、電炉鋼が215.7万トンと前月比6.3%、前年同月比4.9%のともに減となった。前年同月比では転炉鋼は2カ月連続の増加、電炉鋼は2カ月連続の減少となった。
鋼種別生産では、普通鋼が660.2万トンと前月比3.6%減だが、前年同月比0.2%増、特殊鋼が204.5万トンと前月比8.5%、前年同月比3.8%のともに減となり、前年同月比では普通鋼は2カ月連続の増加、特殊鋼は5カ月連続の減少となった。
普通鋼と特殊鋼を合計した熱間圧延鋼材生産は、750.2万トンと前月比5.4%、前年同月比2.1%のともに減となり、前年同月比では10カ月連続の減少となった。
普通鋼熱間圧延鋼材の生産は、588.8万トンと前月比4.2%、前年同月比0.6%のともに減となり、前年同月比では5カ月連続の減少となった。
特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は、161.4万トンと前月比9.5%、前年同月比7.2%のともに減となり、前年同月比では4カ月連続の減少となった。
主要品種の生産内訳をみると普通鋼では、鋼帯が343.71万トンと前月比3.5%減で、前年同月比も0.1%の微減。冷延広幅帯鋼が139.5万トンと前月比11.4%の2桁減で、前年同月比7.4%減。鋼板が90.3万トンと前月比0.8%の微減だが、前年同月比1.6%増。小形棒鋼が72.0万トンと前月比6.1%、前年同月比3.7%のともに減。H形鋼が33.9万トンと前月比8.1%減だが、前年同月比0.8%の微増。冷延電気鋼帯が11.1万トンと前月比0.9%の微減で、前年同月比も1.8%減。線材が14.6万トンと前月比0.1%の微減で、前年同月比も1.4%減となった。
特殊鋼では、熱間圧延鋼材が162.0万トンと前月比9.2%、前年同月比6.9%のともに減。冷延広幅鋼帯が23.6万トンと前月比9.5%、前年同月比8.1%のともに減。特殊鋼磨棒鋼・線類が13.4万トンで前月比10.7%の2桁減で、前年同月比も7.7%減となった。
鋼管では、普通鋼熱間鋼管が34.6万トンと前月比7.6%、前年同月比6.1%のともに減。特殊鋼熱間鋼管が13.4トンと前月比10.7%の2桁減で、前年同月比も7.7%減となった。
めっき鋼材では、亜鉛めっき鋼板が82.7万トンと前月比12.7%の2桁減で、前年同月比も8.7%減となった。
【4月の鉄鋼出荷】
3月の主要品種の出荷を品目別にみると、普通鋼の鋼帯が158.6万トンと前月比7.1%、前年同月比2.9%のともに減。冷延広幅帯鋼が47.1万トンと前月比20.8%の大幅減で、前年同月比も10.2%の2桁減。鋼板が84.4万トンと前月比10.0%の2桁減で、前年同月比も1.9%も減。小形棒鋼が70.4万トンと前月比6.0%、前年同月比1.6%のともに減。H形鋼が33.0万トンと前月比12.1%の2桁減だが、前年同月比1.9%増。線材が13.9万トンと前月比1.4%、前年同月比6.5%のともに減となった。
特殊鋼では、熱間圧延鋼材が113.7万トンと前月比9.6%、前年同月比4.9%のともに減。冷延広幅帯鋼が21.0万トンと前月比13.7%、前年同月比10.0%のともに2桁減。特殊鋼磨棒鋼・線類が10.7万トンと前月比1.8%、前年同月比4.6%のともに減となった。
鋼管では、普通鋼熱間鋼管が28.6万トンと前月比22.2%の大幅減で、前年同月比も7.1%減。特殊鋼が10.7万トンと前月比16.4%、前年同月比16.3%のともに2桁減となった。
めっき鋼板では、亜鉛めっき鋼板が80.2万トンと前月比14.4%の2桁減で、前年同月比も5.8%減となった。
【4月の石油生産】
4月の石油製品の生産を油種別みると、重油が205.8万㎘と前月比20.0%の大幅減で、前年同月比も15.0%の2桁減。ガソリンが397.6万㎘と前月比8.4%、前年同月比4.2%のともに減。軽油が345.72万㎘と前月比5.1%減だが、前年同月比4.6%増。灯油が86.6万㎘と前月比29.7%の大幅減だが、前年同月比9.8%増。ナフサが145.5万㎘と前月比14.5%の2桁減で、前年同月比も1.5%の減。ジェット燃料油が149.3万㎘と前月比2.4%、前年同月比8.9%のともに増。液化石油ガスが33.9万トンと前月比2.4%増だが、前年同月比10.9%の2桁減。アスファルトが24.0万トンと前月比18.9%の2桁減だが、前年同月比22.1%の大幅増。潤滑油が20.9万㎘と前月比2.5%、前年同月比8.9%のともに減となった。
【4月の石油出荷】
4月の石油製品の出荷をみると、燃料油計で1,532.1万㎘と前月比11.4%の2桁減で、前年同月比も3.5%減となった。
油種別では、重油が206.8万㎘と前月比17.0%、前年同月比18.1%のともに2桁減。ガソリンが408.0万㎘と前月比7.4%、前年同月比4.5%のともに減。軽油が349.7万㎘と前月比9.2%減だが、前年同月7.9%増。灯油が100.4万㎘と前月比26.5%の大幅減だが、前年同月比14.6%の2桁増。ナフサが328.8万㎘と前月比14.1%、前年同月比11.9%のともに2桁減。ジェット燃料油が138.5万㎘と前月比3.2%増で、前年同月比11.9%の2桁増。液化石油ガスが45.2万トンと前月比1.9%、前年同月比5.3%のともに減。アスファルトが14.5万トンと前月比33.1%の大幅減で、前年同月比も4.5%減。潤滑油が21.7万㎘と前月比1.1%、前年同月比8.4%のともに減となった。
【4月のコークス・石灰石】
4月のコークスの生産は、276.6万トンと前月比2.5%減だが、前年同月比2.5%増。出荷は76.4万トンと前月比5.6%、前年同月比9.0%のともに増となった。
4月の石灰石の生産は1,121.3万トンと前月比10.5%の2桁減で、前年同月比も1.4%減。出荷は936.0万トンと前月比6.3%、前年同月比2.3%のともに減となった。
※添付資料
鉄鋼統計速報 2019年4月 Excel
資源エネルギー統計速報 2019年4月 Excel