令和1年8月5日(月)Vol.773
生産 前月比3.6%の低下
経産省 6月の鉱工業生産・出荷・在庫速報発表
経済産業省は7月30日、6月の鉱工業生産・出荷・在庫速報を発表した。それによると6月の生産は、前月比3.6%減と3カ月振りに減少した。5月確報は前月比2.0%上昇だったので、それを大きく下回る低下幅となった。また、6月の季節調整済み生産指数は101.1で、平成29年1月以来の水準となった。
だが、四半期ベースでみると第2四半期(4〜6月)の生産指数値は、速報値ながら102.9(前期比0.5%)となり、第1四半期と比べ上昇している。第2四半期は4月、5月と大型連休を挟んで生産が上昇を続けたが、6月はそこからの反動減もあり、生産は大きく低下したものの、4〜6月を均してみれば、第1四半期より上昇していることになる。
経産省では、6月の鉱工業生産・出荷・在庫速報の特長として、①6月は13業種が前月比生産低下 ②6月の出荷も3.3%低下 ③在庫は上昇としており、基調判断を「一進一退」と据え置いた。
生産 4〜5月の反動で低下
6月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち13業種が前月比低下、2業種が前月比上昇と、幅広い業種で低下がみられた。
6月の生産低下への寄与が大きかった業種は自動車工業、生産用機械工業、電気・情報通信機械工業だった。
低下寄与の最も大きかった自動車工業の前月比は8.8%低下で、3カ月振りの低下となっている。指数値は105.8と低下したが、自動車工業は新型車の発売や大型連休中の工場稼働の影響もあり4月、5月と上昇を続けてきたので、6月の低下は5月までの上昇の反動減も大きいとみられる。普通乗用車、駆動伝導・操縦装置部品等が低下要因となっている。
低下寄与2位の生産用機械工業の前月比は6.9%で、3カ月振りの低下となっている。指数値は107.2と低下したが、生産用機械工業も4月、5月と上昇を続けてきたので、均してみれば5月までの上昇の反動減も大きいとみられる。フラットパネル・ディスプレイ製造装置、機械プレス等が低下要因となっている。
低下寄与3位の電気・情報通信機械工業の前月比は4.7%低下で、5カ月振りの低下だった。電気・情報通信機械工業は、2月以降上昇を続けていたので、これまで増加を続けてきた反動減が現れたとも考えられる。外部記憶装置、デスクトップ型パソコン等が低下要因となっている。
出荷 前月比3.3%低下
6月の鉱工業出荷は、指数値100.6、前月比3.3%減と3カ月振りの前月比低下となった。指数値では、本年年1月と同水準まで低下した。
業種別にみると、全体15業種のうち、11業種が前月比低下となった。自動車工業、電気・情報通信機械工業、生産用機械工業等が低下寄与業種となっている。
財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、最終需要財の出荷は前月比4.3%低下、生産財の出荷は前月比2.2%低下だった。
最終需要財の内訳の中で、6月の出荷低下に対する寄与、影響度が大きかったのは乗用車を始めとする耐久消費財だった。非耐久消費財はむしろ小幅ながら上昇していたが、資本財の低下も大きくなっていた。輸送機械を除いた資本財は6月に低下した。
生産財の出荷も大きく低下しており、鉱工業生産の低下と相まって、鉱工業用生産財の低下が大きくなっていた。
在庫は上昇
6月の鉱工業在庫は指数値104.6、前月比0.3%と2カ月連続の上昇となった。出荷が低下する中で、生産減の下でも在庫が上昇となった。
業種別にみると15業種中、7業種が上昇した。石油・石炭製品工業、無機・有機化学工業、電気・情報通信機械工業等が上昇に寄与した。
財別にみると生産財、建設財が上昇した。鉱工業用生産財の上昇寄与が大きく、6月の鉱工業生産の低下も影響した様子である。
鉱工業全体の在庫については、現行の平成27年基準での最高水準を更新した。6月は、このところ在庫が高水準にあった非耐久消費財の在庫が低下したものの、生産財の在庫は上昇した。
経産省では、在庫の上昇が今後の生産の低下要因にならないかについて、注意してみていきたいとしている。
製造工業の生産予測
生産は7月、8月とも上昇予測
経産省が調査した主要企業から調査したら7〜8月の製造工業生産予測によると、7月は前月比2.7%の上昇、8月は同0.6%の上昇見込みとなっている。7月の上昇業種は輸送機械工業、汎用・業務用機械工業、電気・情報通信機械工業等、8月の上昇業種は化学工業、汎用・業務用機械工業、電子部品・デバイス工業等となっている。
製造工業生産予測指数(生産計画から見る生産動向)
(季節調整済前月比%)
2019年7月見込み | 2019年8月見込み | |
2019年7月調査(今回) | 2.7 | 0.6 |
2019年6月調査(前回) | 0.3 |
製造工業の生産予測指数の先行きを試算した補正値は、7月が0.3%の低下見込み。6月の補正値は1.7%減であったが、鉱工業指数の6月の前月比は3.6%減であった。
製造工業生産予測指数の補正値(季節調整済前月比(%))
補正値 | 予測調査結果 | |
7月前月比 | -0.3(-1.3~0.7) | 2.7 |
※上段の数値が、最も可能性の高い値(最頻値)。最頻値とならない場合でも、( )の幅の中に90%の確率で収まるという計算結果になっている。
令和1年8月5日(月)Vol.774
燃料油販売 前年比2.3%増
エネ庁 6月の石油統計速報発表
資源エネルギー庁は7月30日、6月の石油統計速報を発表した。概要は次の通り。
6月の原油輸入量は1,325万㎘、前年同月比116.0%と2カ月連続で前年を上回った。輸入量の多い順にみると次の通りとなっている。
(1)アラブ首長国連邦(460万㎘、前年同月比175.6%)
(2)サウジアラビア(443万㎘、同101.4%)
(3)カタール(115万㎘、同178.6%)
(4)クウェート(103万㎘、同122.9%)
(5)ロシア(41万㎘、同78.1%)
6月の中東依存度は87.0%、前年同月に比べ1.0ポイント減と4カ月連続で前年を下回った。
燃料油の生産
燃料油の生産は1,256万㎘、前年同月比109.3%と2カ月連続で前年を上回った。油種別にみると、ナフサ、ジェット燃料油、灯油及び軽油は前年同月を上回ったが、ガソリン、A重油及びB・C重油は前年同月を下回った。
燃料油の輸入、輸出
燃料油の輸入は223万㎘、前年同月比102.3%と前年を上回った。輸出は245万㎘、前年同月比105.4%と2カ月連続で前年を上回った。
燃料油の国内販売
燃料油の国内販売は1,228万㎘、前年同月比104.8%と前年を上回った。油種別にみると、ナフサ、ジェット燃料油、灯油及びB・C重油は前年同月を上回ったが、ガソリン、軽油及びA重油は前年同月を下回った。
燃料油の在庫
燃料油の在庫は902万㎘、前年同月比102.6%と4カ月振りに前年を上回った。油種別にみると、ナフサ及びジェット燃料油は前年同月を上回ったが、ガソリン、灯油、軽油、A重油及びB・C重油は前年同月を下回った。
※添付資料
石油需給概要 2019年6月 Excel
令和1年8月5日(月)Vol.775
粗鋼生産 10カ月振り前年比増
燃料油生産 2カ月連続前年比増
経産省 6月の生産動態統計速報発表
経済産業省は7月30日、6月の生産動態統計速報を発表した。粗鋼生産量は878.9万トンと前月比1.3%増で、前年同月比0.4%の微増となり、これで10カ月振りの前年同月比増となった。
また、石油製品生産量は燃料油計が1,256.5万㎘と前月比3.8%減だが、前年同月比9.3%の増となり、前年同月比で2カ月連続の増加となった。
【6月の鉄鋼生産】
銑鉄生産は656.9万トンと前月比0.4%増、前年同月比3.4%増となり、前年同月比では2カ月振りの増加となった。4~6月では1,955.8万トン(前年同期比0.3%増)、1~6月では3,789.3万トン(同3.4%減)となった。
粗鋼生産は878.9万トンと前月比1.3%増、前年同月比0.4%増となり、前年同月比では10カ月振りの増加となった。6月の1日当たり粗鋼生産は29.3万トンで、5月の同28.0万トン比4.7%増となった。4~6月では2,611.1万トン(前年同期比1.7%減)、1~6月では5,108.2万トン(同3.6%減)となった。
炉別生産では、転炉鋼が660.4万トンと前月比0.3%増、前年同月比2.7%増、電炉鋼が218.5万トンと前月比4.7%増、前年同月比5.9%減となり、前年同月比では転炉鋼は2カ月振りの増加、電炉鋼は4カ月連続の減少となった。
鋼種別生産では、普通鋼が668.3万トンと前月比1.2%増、前年同月比1.0%増、特殊鋼が210.6万トンと前月比1.8%増、前年同月比1.2%減となり、前年同月比では普通鋼は2カ月振りの増加、特殊鋼は7カ月連続の減少となった。
熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は762.0万トンと前月比2.6%増、前年同月比3.2%減となり、前年同月比では12カ月連続の減少となった。4~6月では2,257.1万トン(前年同期比3.6%減)となった。1~6月では4,501.5万トン(同4.0%減)となった。
普通鋼熱間圧延鋼材の生産は597.4万トンと前月比3.3%増、前年同月比2.3%減となり、前年同月比では7カ月連続の減少となった。4~6月では1,765.9万トン(前年同期比2.5%減)、1~6月では3,503.7万トン(同3.6%減)となった。
特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は164.7万トンと前月比0.1%増、前年同月比6.1%減となり、前年同月比では6カ月連続の減少となった。
4~6月では491.2万トン(前年同期比7.3%減)、1~6月では997.8万トン(同5.5%減)となった。
主要品種の生産内訳をみると普通鋼では、鋼帯が357.7万トンと前月比4.1増だが、前年同月比2.8%減。冷延広幅帯鋼が140.3万トンと前月比4.1%、前年同月比8.9%のともに減。鋼板が891.2万トンと前月比5.1%増だが、前年同月比0.1%の微減。小形棒鋼が74.3万トンと前月比8.3%増だが、前年同月比0.8%の微減。H形鋼が29.5万トンと前月比4.9%減で、前年同月比11.0%の2桁減。冷延電気鋼帯が9.9万トンと前月比4.2%減で、前年同月比16.8%の2桁減。線材が12.6万トンと前月比2.1%減だが、前年同月比4.1%増となった。
特殊鋼では、熱間圧延鋼材が164.7万トンと前月比0.1%の微増だが、前年同月比6.1%減。冷延広幅鋼帯が24.2万トンと前月比3.7%、前年同月比2.5%のともに減。特殊鋼磨棒鋼・線類が18.2万トンで前月比6.3%増だが、前年同月比7.5%減となった。
鋼管では、普通鋼熱間鋼管が33.2万トンと前月比1.0%増だが、前年同月比10.9%の2桁減。特殊鋼熱間鋼管が12.7トンと前月比3.8%減で、前年同月比11.8%の2桁減となった。
めっき鋼材では、亜鉛めっき鋼板が84.0万トンと前月比2.6%、前年同月比8.2%のともに減となった。
【6月の鉄鋼出荷】
6月の主要品種の出荷を品目別にみると、普通鋼の鋼帯が172.5万トンと前月比2.5%減で、前年同月比も0.1%の微減。冷延広幅帯鋼が53.0万トンと前月比3.1%、前年同月比1.4%のともに減。鋼板が89.9万トンと前月比8.9%、前年同月比3.1%のともに増。小形棒鋼が70.0万トンと前月比2.0%増だが、前年同月比7.6%減。H形鋼が31.0万トンと前月比0.4%の微減で、前年同月比13.0%の2桁減。線材が11.9万トンと前月比5.4%、前年同月比4.1%のともに減となった。
特殊鋼では、熱間圧延鋼材が117.3万トンと前月比横ばいだが、前年同月比6.5%減。冷延広幅帯鋼が22.1万トンと前月比3.6%増だが、前年同月比3.8%減。特殊鋼磨棒鋼・線類が17.0万トンと前月比6.5%増だが、前年同月比8.3%減となった。
鋼管では、普通鋼熱間鋼管が29.7万トンと前月比6.2%増だが、前年同月比8.8%減。特殊鋼が10.5万トンと前月比3.1%増だが、前年同月比19.7%の2桁減となった。
めっき鋼板では、亜鉛めっき鋼板が83.6万トンと前月比2.8%増だが、前年同月比6.2%減となった。
【6月の石油生産】
6月の石油製品の生産を油種別みると、重油が172.6万㎘と前月比6.5%減で、前年同月比16.0%の2桁減。ガソリンが372.8万㎘と前月比6.7%減で、前年同月比0.4%の微減。軽油が349.9万㎘と前月比1.3%減だが、前年同月比16.4%の2桁増。灯油が58.3万㎘と前月比26.5%の大幅減だが、前年同月比34.7%の大幅増。ナフサが149.0万㎘と前月比4.7%増で、前年同月比67.1%の大幅増。ジェット燃料油が153.9万㎘と前月比5.9%増で、前年同月比12.1%の2桁増。液化石油ガスが31.3万トンと前月比3.3%減だが、前年同月比9.3%増。アスファルトが19.8万トンと前月比8.2%減だが、前年同月比2.1%増。潤滑油が17.3万㎘と前月比0.3%の微減で、前年同月比15.9%の2桁減となった。
【6月の石油出荷】
6月の石油製品の出荷をみると、燃料油計で1,467.9万㎘と前月比2.0%減だが、前年同月比4.6%増となった。
油種別では、重油が187.2万㎘と前月比3.7%増だが、前年同月比15.0%の2桁減。ガソリンが385.8万㎘と前月比6.0%、前年同月比4.1%のともに減。軽油が352.4万㎘と前月比2.5%減だが、前年同月9.8%増。灯油が67.4万㎘と前月比0.4%の微増で、前年同月比32.7%の大幅増。ナフサが331.7万㎘と前月比3.4%増で、前年同月比22.8%の大幅増。ジェット燃料油が143.4万㎘と前月比9.0%減だが、前年同月比3.7%増。液化石油ガスが41.7万トンと前月比5.3%減だが、前年同月比16.3%の2桁増。アスファルトが9.0万トンと前月比35.9%、前年同月比33.7%のともに大幅減。潤滑油が19.0万㎘と前月比7.1%減で、前年同月比19.6%の2桁減となった。
【6月のコークス・石灰石】
6月のコークスの生産は、274.2万トンと前月比2.3%減だが、前年同月比1.8%増。出荷は71.6万トンと前月比8.2%増だが、前年同月比5.3%減となった。
6月の石灰石の生産は1,089.2万トンと前月比3.8%、前年同月比6.8%のともに減。出荷は925.8万トンと前月比2.8%増だが、前年同月比0.4%の微減となった。
※添付資料
鉄鋼統計速報 2019年6月 Excel
資源エネルギー統計速報 2019年6月 Excel